発見30 ページ35
ハルヤ視点
悪夢でも見たのか、うなされていた、と洞潔が言ったから
Aの様子を見に行った。
やはり眠れないのか、起きていた。
とりあえず話してみるように言ったら、ポツポツと話し出す。
きっと俺と彼女が会う前の出来事だ、聞いている限り、自分勝手な人間がAを殺そうとした
という、なんともひどい話だ。
話しているうちに眠たくなったのか、目を時々擦る仕草をする。
そして話が途切れ、終わったのかと思い部屋に戻ろうとすると、いきなり後ろから襟袖を
引っ張ってきた。
「い、行かないで、ください······」
我が儘なのは分かってます、とか細い声で言うAが何時もよりしおらしく、可愛く見えた。
とろんとした目、少しぼさっとした髪、高い体温、あどけない顔。
何時も彼女の事を見ているはずなのに、今までで感じたことのない暖かい感じと優越感。
一瞬だけ、心臓をきゅっと掴まれた感覚がした。
「一緒に寝れば良いのか?」
そう言えば、ふにゃりと笑って、手を握ってくださいと言ってきた。
言われた通りに握ると、そのままベッドに横たわった。
流石に恥ずかしいと思うなか、何故かこの状態に少なからず満足もしていた。
Aはおやすみなさい、というとすぐ寝てしまった。
·
·
·
今さっき起きて、目の前にいたAは
顔を紅くして、困惑していた。
「朝から何をそんなに戸惑った顔をしているんだ······」
片手を上げると、Aの手を握っていた。
嗚呼、そういうことか。
「何で、此処にいるんですか。そして、どうして手を繋いでいるんですか!」
「Aが手を繋げだの、部屋に帰るなだの言ったんじゃないか」
そう言うと、更に顔を紅くして独り言を呟いている。
まだ休日の6時過ぎだというのにいつも通り早起きするAとは反対に、俺はまだ眠い。
嘘だ、うわぁ、と嘆いている彼女のまだ繋いでいる手を引っ張った。
すると案の定、ベッドに倒れ混む。
「寝るぞ」
「わっ、私もですか?朝食作らないと······」
「休みくらい良いだろ」
そのまま手を握りしめ、紅く染まった顔を見て目を閉じた。
28人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Kaede(プロフ) - 地炎 美羅さん» ありがとうございます!頑張ります(*´∀`*) (2018年11月13日 21時) (レス) id: 7af5a2cf72 (このIDを非表示/違反報告)
地炎 美羅(プロフ) - とても面白いです! (2018年11月12日 19時) (レス) id: 58dbd0a658 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ