ねぇ、増田先生？ (ページ27)

今日:6 hit、昨日:21 hit、合計:2,775 hit

27 ページ27

午後になってさすがにお腹がすいた。
なにか買いに行こうと家を出る。
陽葵や慶ちゃんから連絡があり、心配しないで、という旨のメッセージを伝えた。

ふと前を見ると、何度も見てきた赤髪。
と隣に如月先生らしきかわいい女の人。
なんでこんなときに会っちゃうかな。
胸がぎゅーって締め付けられてくるしい。
増田先生が袋を両手に持って、楽しそうに話してる。
学校はお休みで二人でお出かけですか？
楽しそうですね、お幸せに。
私は逃げた。増田先生からも、自分に向き合うことにも。

それから私は少しずつ前の生活を取り戻そうと頑張った。
増田先生とは目を合わせないようにして、体育の授業では慶ちゃんや陽葵に教えてもらって。祐也くんにも諦めたと伝えて、もう三人で集まることはなかった。
ただ増田先生と出会う前の普通な私に戻ればいいの。
ただそれだけ。
今まで普通に生きてたんだからそれくらい簡単でしょ？

最初のうちは、増田先生が私の態度の変化に気づいていて、何回か声を掛けられそうになった。その度に涙が出そうで、笑った顔が見たくて、話したくて、触れたくて、仕方なかった。
でも何週間もすれば、増田先生も私を特別気にかけるようなことはなくなった。
このとき、本当に私の恋が終わった。

高校最後の夏休み、青春したかったな。
あわよくばイケメン彼氏作って、海でも花火でも遊びに行きたかった。どうせ陽葵は祐也くんとデート行くんだから、
私は今年もぼっちだな。

そう思ってたのに。

「A、夏休み花火大会行かない？」

慶ちゃんからまさかのお誘い。

「うん、いいよ！他に誰か誘う？」

「いや、、、出来れば二人で行きたい。ダメなら全然いいんだけどね？」

「ううん、全然嫌じゃないよ。二人で行こっか！」

ありがとうってふにゃーっと笑う慶ちゃんはかわいい。

よく考えれば私、慶ちゃんのことどう思ってるんだろう。
もちろん好きだけど、それは友達として。
彼氏にしたいかって言われると、たぶんそうじゃない。
まぁ慶ちゃんだってそんな深い意味で誘ったんじゃないか。
ただ友達として遊ぼってことだよね。
うん、きっとそうだ。