ねぇ、増田先生？ (ページ26)

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あ〜、泣きたい。でも我慢。ここは学校、公共の場。
もう増田先生のこと見れないよ。
失恋ってこんなにつらいんだ。全部のやる気スイッチが切れちゃうみたい。
帰りたい。もうお布団にダイブして何もかも忘れたい。

でも無情にもホームルームはやってくるわけで…

『みんなおはよー、席着いてねー。』

あぁ、もう声聞いただけなのに涙が出そう。
だいすきだったんだよ。
これからもこんなに好きになる人はいないだろう。
あなたが私の最初で最後の恋だったんだよ。

ホームルームが終わると案の定増田先生は女子に捕まった。
聞きたくないのに聞こえてしまう会話。

「ねぇまっすー、如月先生と付き合ってるんでしょ？」

『ん〜？付き合ってないよ？』

付き合ってても付き合ってない言うんでしょ？
言えないもんね、先生同士の恋愛って。
期待しちゃだめだよ、わたし。

「うそだぁ！だって私見たもん！まっすーと如月先生が二人でいるとこ！」

「私も見た！仲良さそうだったから覚えてるもん！」

『冗談やめてよ〜、ふふふ』

私の心に容赦なくトゲが飛んでくる。いたい。くるしい。
でも刺さったトゲは心の深いところ。一生残る傷。

『よし、じゃあ先生授業あるから行くね。』

遅れるなよーって増田先生は去って行った。

心配そうな顔して陽葵が近づいて来た。

「A、まだまっすーが彼女いるって決まったわけじゃないよ。まだ諦めちゃダメだよ。」

「うぅ。泣きたい。叫びたい。」

「うん……泣くのも叫ぶのも、まだ早い。ほら、祐也だって応援してるんだから。また作戦立てよ？」

つらい。こわい。くるしい。傷つきたくない。
負の感情が私に絡み付いて離してくれないの。

結局その日は体調不良ってことで早退した。
帰ってからご飯も食べずに、ただひたすら泣いた。

心のどこかで期待しちゃってたのかもしれない。
私は他の生徒より優しくされてるんじゃないかって。
好かれてるんじゃないかって。
特別扱いしてもらってるんじゃないかって。
でも全然そんなことなかった。

次の日は学校を休んだ。
お母さんが増田先生から電話があったって言われた。
私に代われるかってことらしかったんだけど、断った。
きっと、だいじょうぶ？ってまあるい声で心配してくれる。
でも、それは私が生徒だから。
担任としての仕事だから。
涙がまた溢れた。