ねぇ、増田先生？ (ページ22)

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文句を言いながらも呼びに行ってくれたみたい。
あの人ツンデレだからね。
そういうところも好きだったりする。

あぁ、こんな風に増田先生にも素直に好きって言えたらな。
きっと色んな人から言われてるんだろうけど。
そうだよ、あんなにかっこいいんだから彼女の一人や二人くらい居るに決まってるよ。
なんで今まで気づかなかったんだ。
私のばか。おおばか。

陽葵はファイトって言ってシゲ先生連れて行っちゃった。
私たちを二人きりにするためだよね。
いやでも何を話せばいいんだ？
よく考えずに行動するのは悪いクセ。

『Aさーん、おまたせー！』

すこし前髪がふわふわしてる。
走ってきちゃった！、ってふふっと笑う増田先生はとんでもなく可愛い。
10個も年上なんて信じたくない。

さぁ私、なにか話せ。
このチャンスを無駄にするのか？
ん？って首をかしげる増田先生にさらにドキドキ
私の心臓！しずまれ！

なんにも話せない私を、心配そうに子犬みたいな目で見つめている。

『場所、変えよっか。保健室でいい？』
｢すみません｣
『全然、大丈夫だよ』

あぁもうなに気使わせてんのよ私！
なんか深刻な悩み抱えてるって思われてるよ！
まぁ間違ってはないけども！だいぶ苦しいけども！

増田先生は私の歩幅に合わせて歩いてくれる。
そういうのがさらっと出来ちゃうからモテるんだよ。
モテ男を好きになるってこんなに大変なのか。

『とーちゃく！』

小学生みたいで思わず笑っちゃう。
すると増田先生も私を見て微笑んでくれる。
もう好きで好きで苦しい。全部がだいすきなの。
増田先生はさりげなく自分の隣の椅子を引いてくれた。

そして、沈黙を破ったのは増田先生。

『最近たくさん話しかけてくれてたのに、全然応えてあげられなくてごめんね』

気づいててくれたの？

｢そんな、増田先生なんて大人気ですから。私なんか放置してくださって大丈夫ですよ｣

思ってもない言葉ばかりがスラスラ出てくる。
寂しい、とか素直に言えたらな。

『いやいやAさんも大事な生徒だもん』

ズキッ。大事な生徒か。
そうだよな、私と増田先生はただの教師と生徒の関係。
増田先生はそれ以上にもそれ以下にも思ってない。
耐えろ耐えろ私の涙腺。
やばい、と思ったときにはもう涙が溢れた。