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あの人 ページ5

鬼の鋭い爪が私の首元に迫る。


技が間に合わない。


距離を取る時間もない。


まだ沢山、やりたい事があるのに…

そうだ、私まだ“あの人”に会ってもいない。

やっと鬼殺隊に入れたのに。

やっと、ほんの少しでも“あの人”に近づけたばかりなのに。



あぁ、涙で視界が霞む。


色々な思いが頭を駆け巡る。





死にたくない





“鬼が憎いのなら、これ以上自分と同じ境遇に誰にもあって欲しくないのなら 強くなれ!”



『……!』



そうだ、私は…

鬼のせいで、自分と同じ境遇の人が出てきて欲しくなくて鬼殺隊に入った。

強くなるため、誰かを守るため。



“あの人”が教えてくれたじゃない!



剣を握り、鬼目掛けて剣を振る。



『うわあああああ!!!』

「!?」



少しでもいい、倒せなくていい!

この鬼を動け無くなるほど切り刻め!

自分の手足がもがれようとも!!死ぬ間際まで剣を振るえ!!

人に危害を与えさせるな!何としてでも、こいつを!!





「“炎の呼吸 壱ノ型 不知火(しらぬい)”」





鬼の爪が私の首を掻っ切るより先。



「ぐぎ、ゃ?!」



鬼の首が中を舞う。



『……え…』



鬼に向けた刀をぴたりと止める。


切ったのは私じゃない。



「無事か!A!」









『あ、』



懐かしい声。



恐怖とは違う涙が溢れ出る。




『煉獄さん…』

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作者名:まの | 作成日時:2021年2月13日 13時

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