. ページ24
走り出した。
いや、走り出そうとした。
それを誰かが私の髪を掴み止める。
『!』
掴まれた髪を強引に引っ張られ、後ろの方へと投げ飛ばされる。
『いっ……』
投げ飛ばされた勢いで、地面に倒れてしまった。
誰かが私に覆い被さる。
その“誰か”の顔を見て一気に涙が溢れ出す。
なんで。
『おと……さん』
そこには、お父さんがいた。
でも、いつもみたいに優しいお父さんとは違う。
角のようなものが頭から生えた、まるで鬼のような……
「あぁ参った、本当に参った」
お父さんが口を開く。
「俺が鬼だとバレてしまった、折角のカモフラージュが台無しだ」
鬼……
お父さんが、鬼?
人を食らうと言われている、あの……
『う、そ……だ』
やっとだしたその言葉に、お父さんは笑いながら言う。
「嘘じゃないさ、お前も今見てるじゃないか。俺のこの姿を」
『だ、って、お父さんは……鬼を、抑えてたじゃない…!』
そうだ、お父さんは鬼を抑えて私に逃げろと言ってくれた。
これは何かの間違い、間違いに決まってる!
「“抑えてたのが”鬼だったんだよA」
思わず目を見開く。
ありえない、それじゃあ……
『それじゃあ、押されられてたのは…』
「あぁ、あいつ…あの野郎、俺が村ん奴を食べてる所を見てやがったみたいでなぁ?」
『え……』
「バレちまったって知ってなぁ、母さんとお前を食べてずらかろうと思ったのに……あいつ、俺の家に先回りしてやがった」
お父さんは言葉を続けた。
「だから仕方なかったんだ、仕方なかった。仕方なかったんだよ」
涙が、どんどん溢れてくる。
『だったらなんでっ…私に逃げてっていったのよ!』
「あぁ、あれはな」
「お前を一旦にがしたところで俺はな、あの野郎を殺してお前を捕まえるのなんて簡単だと思ったからだ」
106人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まの | 作成日時:2021年2月13日 13時