とっとこはむちゃん【短編集】

彼女を失うには早すぎた　G6 side ページ9

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G6 side





海の中にいるような心地がする

ぬるいようで身体の芯を貫く様な冷たさの中にいる














ジリリリリリリリ



6「っ！」




なんや、夢かい


でも変な感覚がまだ残ってる

立ち上がってみても、歩いてみてもその感覚は無くならなかった




6「とりあえず、飯か」




リビングに出て違和感を覚えた

昨日は無かった新聞がテーブルに置かれている





6「、は？」




目に飛び込んできたのは大きく書かれた見出しだった



"浜野A死去 19歳"




"頭部死球により救急搬送 その後死亡が確認"


"僅か2年のプロ野球人生に幕を閉じる"


"ファンは悲しみの渦"


"「なんであの子が」"


"「彼女を失うには早すぎた」"





理解が出来ない

あの子は昨日も普通に、普通に､､､



















､､､きのう、なにがあった？








ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ



気がつくと俺の腕の中にはぐったりとしたAがいた

俺は球場のバッターボックスにしゃがみ込んでいる



ああ、そうか
俺が一番に駆け寄って、この子を抱えたんだ



担架を持ってくるスタッフ

ベンチから飛び出して今にも乱闘し始めそうな選手達

慌てた表情の監督とコーチ

悲鳴をあげ、ざわつく観客




そんな事も知らないこの子の顔色は青白くなってゆく



頭を支えている手に何か感触がした



見てみると俺の手のひらは真っ赤に染まっていた






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