とっとこはむちゃん【短編集】

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『ミエちゃん可愛かった！
　そういや、木浪さんとこにも行かなきゃ』




Aが焦って戻ると、ベンチにだるーんと待っている
木浪さんがいた




T0「遅ーい」


『だってミエちゃんが可愛くて､､､』


T0「それならしょうがない
　ん、膝乗って。今度は俺と話す番」


『はーい』




膝に乗るなりAのお腹に手を回し、がっちりホールドして逃がすまいと言っているようだった






木浪さんは「オフにどこか一緒に行こ？」だとか
「今日夜飯行かん？」と出かける予定をどうにか作ろうとしているが
Aはというと『大山さんと話してない』やら
『しょーきさんの次の登板はいつですか』などと、
無意識なのか誘いを受け流している




そうやって攻防戦を繰り返すうちに巨人側から岡本さんが来た




25「岡田監督、こんばんは
　うちの子回収しに来ました」


『もうですか？もうちょっと居たい､､､』


25「そんな顔してもあかんよ
　こっちのベンチの雰囲気がやばいの分かってる？」


『､､､もりちた〜』




こういうときだけ俺を頼るのがずるいと言うか、
何と言うか､､､


よっこらしょ、と言って岡本さんはAを俵担ぎし、
颯爽と帰って行った



確かにあっちのベンチから痛いほどの視線が感じられるのは薄々気づいていた


けど返そうとしなかったのは、少しでも長く一緒にいたかったからであって、Aが帰ってしまった今、
もうちょっと引き留めとけば良かったかななんて
1人悶々としている




向こうを見れば吉川さんに怒られているAが見え、
こっちを見たかと思えば手を振って来るもんだから、
これ以上俺の心を振り回さないでくれと切実に思った







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