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「A!」
悟空がすっ飛んできて、隣に降り立つ。
「おい、ありゃあ、どういうことだ!こっちに来るのに2週間はかかるって…!」
「…食べてきたんだ…」
「え、それって」
Aは顎に手を添えて、蠢く球体を睨みつけた。
「ここに移動するまでの、時空か、時間か。ワープと同じ原理で食べたんだよ」
「そんなのありか!?」
「カカロット」
ふわりとベジータも降り立った。
黒い球体は放射線のように広がりながら街に向かってくる。数はエデンで見た時よりずっと多い。
「ベジータ!あんなやべぇの、街に来ちまったら大変なことになるぞ!」
「予定より少し早い到着だっただけだ。ガタガタ言わすな」
「父さん、僕も手伝います」
サイヤ人がやいのやいのと作戦会議にも似た集いをする。Aがとん、とベジータの肩に手を添えた。
「3人で、大切な人たちを、どうか守って」
パチパチと音を立てて稲妻を纏ったAは足りないままだった部位を補った。光の義手からはまた弓矢ができて、Aはとりあえずの一矢を投じた。
「あれは私がやる」
光の矢は蝗の群れに飲み込まれた。かすかな煙は上がったものの、矢程度では到底…しかも彼女は万全ではない。
「ちょっと待て!お前1人でどうにかできるのか!?」
「そうですよ!聞きました、向こうでもお父さんとベジータさんがボロボロになっちゃうくらい大変だったって!」
悟飯とベジータがとり囲み、掴みかかるように彼女に詰め寄った。
上空にはかつての父が着ていた服がやはりある。あれにはもう父としての価値はない。だが、孤立しているあの主格らしいものは、どう考えても殺し損ねた自分のせいだ。
Aは自分より背の低い場所にある頭を2つ抱きしめた。悟飯とベジータは困惑している。
「私を人にしてくれてありがとう」
「な、なにを」「お前」
「みんなもひっくるめて、私の地球だよ。全部、全部、思い出も、人も、何もかも、私の宝物」
そっと2人から離れて、悟空の前に立つ。同じように抱きしめた。
「君たちの未来に祝福を」
「…行くんか」
「うん」
背中を向けて離れる。少し歩いてから、義手から槍を作る。
「悟空、私を、あの時私を見つけてくれてありがとう。ベジータも、私のこと大切にしてくれてありがとう。悟飯、君はもう少し家族に構うように」

離れたくない

もっといたい

お願い、引き止めて

言って

「みんなのことは私が守る。指一本…いや、羽一枚だって、みんなには、届かせたりしない」

小波のようなノイズが頭に響いている。

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ニック(プロフ) - とても良い作品でした。最終回なのが悲しいです。 (2023年4月25日 17時) (レス) id: 929d0bcae2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:メルト | 作成日時:2022年8月3日 17時

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