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明鏡の瞳 ページ40

水族館の後はショッピングモールへ来て、Aは一番最初に文字の練習帳、続いてノートと筆記用具を握ってベジータのところへ戻ってきた。
「文字の練習をしたいのか」
「うん。にっき、かくの」
彼女は文字は読めていた気がするが、忘れてしまったのだろうか。どれもこれも忘れてしまってなんと可愛い。ベジータは乱暴に頭を撫でて、ブルマから借りたクレジットカードで精算を済ませた。
学習能力はもともともずいぶん高かったはずだ。
きっとすぐに不要になる。
強請られたらすぐにアイスクリームもクレープも与えた。サイヤ人の消費カロリーは生きているだけで地球人の何十倍何百倍になる。ブルマがいなければ強盗していただろうなと、悟空以外はたまに妄想に耽る。
帰るとブラの余があったのに、ああそんなに服を汚して、どうして塩まみれなのと矢継ぎ早にブルマに叱られた。3歳になったブラの相手をしながら、Aはまた電池が切れたように眠り落ちた。ガンマ1号が彼女を抱き抱え、充電装置に寝かせた。青い光に照らされて彼女は眠る。
「食料だけじゃ追いつかなくて」
言い訳のようにブルマは言った。別に構わない。

翌日、軽い手合わせをしようと誘うと彼女は嬉しそうに飛び跳ねた。ガンマ1号が心配そうに見ていた。
「よーし」
ぐっと体を伸ばして動きやすいジャージに身を包んでも美少女だった。
前と同じように力を胸の中心に集める、が、すぐに分散される。Aは首を傾げつつ何度か試したが、どうも弓も槍も出てこない。当然だ、あんな莫大なエネルギーの凝縮体、あれ一つで太陽何個分だと思っているんだか。
「来ないならこっちから行くぞ」
「あんまり無茶は」
「構うな」
止めたがるガンマ1号の手を振り払い、ベジータは重力室の壁を蹴ってAの頭を掴んだ。その勢いのまま床に叩きつける。
「んみゃーーー!!!」
平気らしい。さすがガンマと同じ材質。
ベジータの腹を蹴って距離を取る。ついた小石を振り落とした。
腹には何の痛みもなかった。彼女の蹴りが遅すぎて避ける気も起こらなかった。今度は思い切り走ってから彼女の頭をぶん殴ってみた。
ゴンといい音が響き、壁にぶち当たって、彼女は頭を押さえ蹲った。
「防御力は前と変わらないくらいか?力も反応速度もずいぶん落ちたな」
これでいい。
これだけ弱けりゃ戦わずに済む。
Aはふらふらと立ち上がって、ベジータを睨みつけた後、顔を歪ませ、ボロボロ泣き出した。
「いたいぃ…」
「へ」
ベジータから間抜けな音が漏れる。
「ベジータ!!!」
特製ビームガンを構えたブルマがすっ飛んできて、間に入った1号のマントが蜂の巣になるまで乱射は続いた。

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ニック(プロフ) - とても良い作品でした。最終回なのが悲しいです。 (2023年4月25日 17時) (レス) id: 929d0bcae2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:メルト | 作成日時:2022年8月3日 17時

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