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とくとく。
どく、どくん…。
ちりちり、りりりり。
からからからから。
どん、どん、どん…。
「いつもと違う音がしますわね」
きゅる、きりきりきりきりきり。
どろどろろろろ。
「もう6日ほど、ですわ。Aの声も聞こえなくなりましたし」
「そりゃ、そうさ。僕の生みの親が新しい体を作ってる音だ」
「あらあら…」
「あ?信じてないな?」
「ふふふ、あなたを作ったのは、人間でしょう?Aはもうすでにドミヌスの手に追えないほど遠く、確立した存在ですわ。それゆえにあの子はもうどこにも行けずここで苦しむだけのはず」
「君のお父さん?そいつも人間だと聞いていたけど?」
「人間は人間でも、上位種族ですわよ」
どくん、どくん、どくん…。
じわわわわわ…。
「もはやあの子は理そのもの。あの子がこうだと考えればそうなる…あ」
「ふふ、ふふん」
「…あー…なんて傲慢で、浅はかなの。人間なんて大嫌いですわ」
「あっはははは!」
「あなたのことも嫌いになりそう」
「そう言うなって!せっかく人間に至らない僕達のための庭園だ。二人で思い切り満喫しようよ」
「わたくしが整えたわたくしのための庭園に、あなたが踏み込んできただけでございましょ。全然お手伝いにならないし」
「いいじゃん!ね、紅茶は何が良い?」
「…アールグレイを」
「お安い御用さ」
だく、どく、だく、だく。
ちっちっちっちっ…。
ぽこぽこ…ぽこ、ぽこ…。
「…ねえ、君のマザーは、」
「わたくしのじゃありませんわ」
「失礼。あの子のマザーは、何を考えて、君の宿木は何を思ったと思う?」
「そうですわね…」
ころころ、ちりちり、りり、りり。
「…人として幸せになって…と。そして…あの人の子供になれたら…かしら」
「そうなれたら、幸せになれると信じたんだね」
「さあ?わたくし、あの子のことなんかちっともわかりませんもの」
「嘘つきー」
「真面目ですわ」
「慎重さが足りないな!知らないならそもそもそんな願いなんて思いつかないよ!」
「ふふふふ、勘に障るガキですわね」
「口悪ーい」
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ニック(プロフ) - とても良い作品でした。最終回なのが悲しいです。 (2023年4月25日 17時) (レス) id: 929d0bcae2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:メルト | 作成日時:2022年8月3日 17時