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暗闇の中で眠るのは普通だが、誰もいないのは絶えられない。
誰かのために命を賭してみる世界も、自分には不相応だった。結局暗闇で孤独に震えて、子猫のように怯えている。
哀れだと思う。
他と同じく苦しめられることもできないまま、彼岸花の中で何度も窒息死した。何回死んだかは知らないが、ざっと3年は死に続けている。
苦しいと泣きながら死ぬのも癪なので最後には笑っていつも死んでいる。彼岸花で溺死するのは、後にも先にも私だけだろう。
悲鳴が聞こえる。半狂乱で許しを求める人の声がする。
嗚呼、助けてあげたい。でも私にその資格はない。そしてそのつもりもない。あなたは苦しむべきなのだ。私と同じように。
昔のように自分のせいで彼らが苦しんでいるとは思わない。彼らが選んだ道が裁きの道であっただけ。月もあくびが出る魂の消滅は泡沫に、次こそ美しく生きられれば良い。私が守ったのは、あなたたちの未来であり、また贖罪の場。
「一つ積んでは父のため、二つ積んでは居ない母へ」
「三つ積んでは友のため。四つ積んだら地獄行き」
「罰を与えて5億年」
退屈知らずの5億年。
もう少し、もう少し。
5億年の間に死ねた数だけブルマさんたちに、人間として笑えるから。今度こそ、もう一度、悟空のあの笑顔がみれるから。
気管がどんどん狭くなる。頭がくらくらする。吸っても吸っても満たされない。
「…か、きゃは、は!!」
笑顔の練習。

「僕が注射してるのは、皮膚をゴム状にする特殊な薬液です」
「ヘえ」
「皮膚は扁平構造になっているので、皮膚の細胞を丸ごとゴムに変えるのは難しい。遺伝子まで狂ってしまうと困るし、古くなったら新しくなるように、真皮に打ち込むことが重要で、かつ細胞そのものには影響を与えない…」
「つまり?」
「ダイラタンシー現象を利用した擬体液を細胞の間に満たしてから、細胞質に浸透させるんです」
「ふーん。すごいのね。さすがDr.ゲロのお孫さん」
「えへへ」
「で、人造人間にも使えるのよね」
「もちろんです!ガンマたちに施したのは、特に僕の技術の真骨頂!衝撃に対し最大でチタン合金の10000倍の防御用外骨格に変貌す」
「人間を作りたいの」
「…!?」
「骨格はできてるし、内臓もそろってる。でも血管やリンパ腺、筋肉…人間を形成する箱ができないの」
「…設計図を」
「これよ」
「…ふーむ…ガンマの技術を多少応用しても?」
「できる!?それなら、Aは動くの!?」
「うぇっ!!あっ、はい…多分…」
「よかった!すぐにやってちょうだい!報酬は、あなたのための研究室よ!道具も全部揃えてあげる!」
「本当に!?よし!!!6日で作ります!!」

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ニック(プロフ) - とても良い作品でした。最終回なのが悲しいです。 (2023年4月25日 17時) (レス) id: 929d0bcae2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:メルト | 作成日時:2022年8月3日 17時

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