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3年後 ページ28

バイタル正常。脈拍、血圧、脳波共に安定。
脳に3秒毎に0.01ボルトの電圧を加え、刺激を送ります。
感覚器接合。電気信号の確認をおこないます…完了しました。全身に反応あり。接合成功。
指先の毛細血管が損傷しました。血圧を低下させます。縫合開始…完了しました。耳道の毛細血管が損傷。膝に内出血確認。脳内出血による脳波の乱れ、髄液と血液が混ざっています。直ちに手術を中止してください。
「だめね、止めてちょうだい」
バイタル維持。瞬間冷凍による完全凍結をおこないます。
完全凍結まで4、3、2、1、0秒。脈拍、脳波の完全停止を確認。
「…だー!!!生命の神秘ー!!!」
「人間にするのはやめるか?」
「今の段階ですら人間とは呼べないわよ!結局人造人間!!というかサイボーグ!」
「メカ以外には弱ぇなあブルマ」
「トラクター以外のメカ弄れない孫くんに言われたくないわよ!」
102体目のサイボーグ・Aの肉体が崩れていく。造形は人間のそれだが、彼女の得意分野ではない生命科学は相変わらずらしい。凍結による水分の膨張で肉体にヒビが入った。ブルマはそれを見てまた大きくため息を吐いた。
「もう神龍に頼んじまったらどーだ?」
悟空があっけらかんと言うと、これでもかと思いきり腕を振ってビンタした。
「次同じこと言ったら、あんたの体で作ってやるから」
「怖ぇー!!!ベジータ、お前の嫁さんおっかねぇよ!!!」
「お互い様だろ」
耳道掃除ロボットが肉片を集める。残っているのは骨格を模した全身の鋼鉄と、彼女の心臓から送られる血液が循環している内臓だけだった。
相変わらずエデンのコアは強いままだ。あの日から何も変わっていない。金色に光る無花果は人工血液を全て吐き出して、内臓も全てキラキラと黄金に輝かせた。
ブルマの何度目かのため息の後、父ブリーフは間抜けな顔のまま猫を撫でながら現れた。
「どうだいブルマ。Aちゃんは起きそうか」
「だめぇー。16号のデータも、17号も18号も協力してもらって、ぜーんぶ調べたけど、根本的に兵器じゃないんだもの」
「兵器にはしないのかい」
「もう戦ってほしくないもん」
「そうかい」
宇宙工学と生命科学は似て非なるもの。
誰だったか、この宇宙は誰かの頭の中で、その誰かも誰かの頭の中で、ホムンクルスの話をした奴がいたがそんな簡単なら苦労しない。
誰かの頭の中を除いても神経細胞の塊。星も太陽も見えない。
「…血管と、筋肉に強化剤を入れて…チューブで模式的に作ってから…」
ブツブツ呟くブルマのそばにはタイムマシンの設計図がある。
息抜きに法を犯すのは、さすがと言える。

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ニック(プロフ) - とても良い作品でした。最終回なのが悲しいです。 (2023年4月25日 17時) (レス) id: 929d0bcae2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:メルト | 作成日時:2022年8月3日 17時

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