惑星エデンの破壊者 (ページ22)

今日:17 hit、昨日:7 hit、合計:8,104 hit

22 ページ22

彼女を集めるために持ってきた新品の箒とちりとり。いくらか風になっていったが、仕方ない。
瓶に詰めて埋めてしまうか。
それとも海や空にばら撒いてやろうか。
花畑の肥料にしてやろうか。
「あれ？」
手で彼女を集めていた悟天が首を傾げる。
「どうしたんだよ、悟天」
トランクスが覗き込む。彼も「悟飯さんに聞いてみようぜ」とそれを掴んだ。
ブルマたちは夕食の準備でこの場にいない。ベジータとトランクス、悟空と悟天、佇むピッコロと無力さを無念に思うデンデがここにいた。
「兄ちゃん！」「悟飯さん！」
「なんだい、2人とも」
悟飯が顔を上げる。曇った顔を無理やり笑わせて、もともと不器用な彼は顔が変に引き攣っていた。
「これ、何？」
「…うーん、どこで見つけたんだ？」
「Aさんの中からだよ。悟天が最初に見つけてぇ」
「…へぇ…」

太陽と間違えるほど金色に輝く無花果。耳を当てれば鼓動が聞こえ、水の中にいる様な泡の声が聞こえる。ブルマたち母はその音をよく知っていた。子供が腹にいるときは、病院で何度も聞いた。
「なんだ、それ」
悟空はブルマの手の中にあるそれを見た。
「さあ？調べてみないとなんとも…」
チチが料理中で、洗って干されている包丁をブルマは手に取って、柄で2、3回ほど叩き包丁を振り上げて思い切り刺してみた。悟空がぎゃあ！と悲鳴を上げた。
「おんめぇそれあいつだろ！？何やってんだ！」
「…」
「聞いちゃいねぇ…」
「…間違いない、あの子の心臓だわ…」
ブルマはその無花果を皿に乗せた。
「スキャンをした時に、中心に異様に光るものがあって、内臓が全然見えなかったのよね。これのせいだったんだ…光り方も、髪の毛と一緒だから、きっとこの中でも同じく核分裂と融合が繰り返されているんだわ…」
「何言ってんだお前ぇ」
ブルマが立ち上がって、ブツブツ言いながら歩き回り出した。それから紙を引っ張り出してペンでさらさらと数式を書き出した。
ベジータが見ても難解な化学の結晶。ブルマだけはサイヤ人の化学に追いつくのだろうな。
数式を描き終えた後は電卓を取り出してピアノを打つ様に計算をやる。悟空はふーんと鼻をほじりながら諦めてブルマの気が済むのを待った。ベジータは机に置いていたリンゴをがりがりと齧っている。
一息ついてペンを置く頃にはサイヤ人どもの腹は満たされていたし悟天もトランクスも寝ていた。
「なんかわかったんか？」
「…うん！」
皿に置かれた無花果はまだ光っている。ブルマはそっと撫でて、くすくす笑った。
妻の笑顔にベジータも釣られて口元を緩ませた。
「また、起こしてあげるの」
そのために優秀な社員がもう1人ほしいな。