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夜を失われた地球を、Aは朝焼けと共に見つめていた。ブルマはまだ寝ている。
黒曜の体は光り輝き、今彼女が都市部へ行けば大騒ぎされて祭り上げられることだろう。
寝落ちしたらしい隣家の隣の隣の隣の家の、テレビという板にはミスターサタンなる人物が冷や汗をかきながら地球の危機がどうの、祝福がどうのと叫んでいる。
少し力を込めてテレビを凝視した。テレビは割れて爆発して、寝落ちしていた男は飛び起きソファから転げ落ちた。
失敗した、とAは少し申し訳なさそうにして屋根から飛び降りた。音も無く着地して、にゃあと鳴いて寄ってくる黒猫を抱き、撫でた。
「おはようございます」
大気の歪みと同時に声が聞こえ、Aはハッとして振り返った。青い肌で白い髪の、確かうぃすとかいう男だった。猫は逃げ出し、A1人になった。
「おはよう、ございます」
「良い夜明けですね。明るすぎて困ってしまいます」
「…」
「そう警戒なさらないで。あなたのことを少々お聞きしたくて来たんです」
「…なに？」
ウィスは柔和な笑顔を浮かべて散歩しましょうと言い歩き出した。
「あなた、お名前は？」
「A」
「年齢はいくつくらいです？」
「…わからない」
「ずいぶん大きいですね、どこの星からいらしたんです？」
「エデン」
「でしょうねぇ」
カラカラと上品に笑う彼の心は無い。揺らぎの一つも見られない。
「エデンはどんなところです？」
「…良いところ、だと思う。綺麗だし」
「それはあなたの本心じゃないでしょう？」
「…やだな、私、うぃすのこと」
「おほほ」
彼がなんでも見透かしたように笑うから、Aは少し嫌そうに目を細め、上空の光玉を見た。
「この世の全てはお父さんが作ったんだって」
「ほう」
「私のことも」
「おや」
「…エデンは、お父さんの箱庭」
光玉は未だ美しい鐘の音を響かせている。脳裏に響くような、透明で、空気を伝わらない音。
「子供のような清い魂でないと入れない、でもそこって、本当にみんなが行きたい場所なのかな」
「どうでしょうね」
「…結構長い間、4000年くらいかな、友達と旅をしてたの。世界を見ようって」
手のひらを光玉に向けてみる。血潮が見えることはない。
「見たよ。破壊神が星を消すのも、前王が宇宙を消すのも、界王神が星を生むのも…」
「ご存じだったんですか」
「うん」
Aは土に手を向けた。ぼこぼこと盛り上がって、そこにはミスターサタンの等身大土人形が生まれた。
「美しいと、思えたよ」
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メルト(プロフ) - どでぃさん» ありがとうございます！本当はスパヒ始まる頃に終わらせておくつもりでした！無理でした！ (2022年7月28日 22時) (
レス) id: 465e22fbd6 (このIDを非表示/違反報告)
どでぃ - 面白いです！すっごい続き気になってます、更新頑張ってください。 (2022年7月28日 11時) (レス) @page49 id: 8e1c6e0d2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：メルト | 作成日時：2022年5月3日 0時
