検索窓
今日:7 hit、昨日:60 hit、合計:15,366 hit

6 ページ6

ピッコロ、ビーデル、サタン、亀仙人にクリリンと、トランクスたちは散々彼女を連れ回した。
一通り友人を紹介し終えると、Aもうとうとし始めて、ベジータの背中で眠った。ソファに寝かせるとその近くで子供たちも寝始めた。
眠る顔はまさに彫刻そのものだった。
結局ウィスのところへは行かなかった悟空もAのことをまじまじと見つめ、へーとかふーんとか何か関心している。
彼女の頬は冷たい。しかし生きている。
悟空にとっては美しいとか、綺麗とか、そういうものには微塵も興味なかったが、彼女の顔も姿も均整の取れた美しいものだと思った。

ガラン…ガラン…

「ん?何の音だ?」
「ブルマ、新しいおもちゃでも作ったのか」
「私じゃないわ、お父さんじゃない?」
耳の奥まで響くような美しい鐘の音だった。それは満月から聞こえるようにも思えたし、空の彼方から音が降っているような気さえした。
野生的で耳の良い悟空でもどこから鳴っているのかはわからない。首を傾げて再びAに目を向けるとそこには彼女はいなかった。
驚いてベジータの名を口にすると、同時に開いていないはずの窓から風が吹いた。出ていったのか、連れて行かれたのか、気を持たない彼女のことを探すのはいずれにしても骨が折れる。窓ガラスは真円を描き割れていた。
状況を把握したベジータは悟空とほぼ同時に窓に向かって飛んでいった。ブルマもまたそれに気づいて悲鳴のような驚きの声を上げた。子供たちが釣られて起きる。
大騒ぎになるかと思われたが、彼女は庭のど真ん中に突っ立っていた。
ほっとして、悟空は彼女に近寄った。
「なんだ、どうした?驚ぇたぞ、急にいなくなるなんて」
ベジータはふんと鼻を鳴らした。腕を組んで彼女のところへ向かってきた。
「ごめんなさい」
「謝らなくていいけどさ」
「ごめんなさい」
「うん、もういいぞ。中に入ろう」
「ごめんなさい…」
「…どうした?」
彼女は膝をついて空を見上げていた。その顔には色濃く焦燥が滲み出ていた。
「お父さん、違うの。だからお願い、やめて」
まだ鐘の音は響いている。
彼女は汗を吹き出し、どうしよう、と呟き蹲った。
「どうしようぅぅぅ…」
「なんだ、なにがあった?」
「カカロット!あれを見ろ!」
悟空がAの背中に触れて声をかけるも、彼女は呻くだけで何も答えない。
彼らの周りには神と名乗るものは数多くいた。
それこそ神と対峙したこともある。
天に浮かぶ黄金の球体と、響く鐘の音が夜を消し去るほど眩しいのだ。
「お父さんが来る」

7→←5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (15 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
29人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

メルト(プロフ) - どでぃさん» ありがとうございます!本当はスパヒ始まる頃に終わらせておくつもりでした!無理でした! (2022年7月28日 22時) (レス) id: 465e22fbd6 (このIDを非表示/違反報告)
どでぃ - 面白いです!すっごい続き気になってます、更新頑張ってください。 (2022年7月28日 11時) (レス) @page49 id: 8e1c6e0d2a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:メルト | 作成日時:2022年5月3日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。