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「よっ、ベジータ!ウィスさんとこ行こうぜ!」
瞬間移動でいつものように現れたアホヅラにベジータは心底嫌そうに眉間に皺を寄せた。Aを抱きかかえたままうるさいと罵る。
しかし言われた彼は何も気にしていないらしく、目の前にある宝石の生命体に興味を向けた。
「おんめぇ起きたんか!うひゃあ、こりゃ、たまげたな!金ピカで眩しいや!」
突然来た悟空にAは怯えてベジータにしがみつき縋った。意外に重い彼女でも、サイヤ人にとってはなんてことはない。
悟空ではなくベジータを頼りにした、というその事実だけでベジータはなんとなく得意げな気持ちになった。
「ほら、怖がっているだろう、あっち行け」
しっしっと手をやるとその動作に悟空は、今度は心底びっくりしたアホヅラを晒した。
「ベジータ!?おめぇ浮気か!?ブルマに殺されちまうぞ!?」
「違うわこの間抜け!良いから消えろ!」
「おめぇ名前は?オラ孫悟空」
「このっ…」
「A…」
「答えなくていい」
「へぇ、そうなんか。どこの星から来たんだ?」
「エデ」
「A!」
「ごめんなさいべじーた」
「なんだよベジータぁ」
Aがモゾモゾと降りて、ベジータの後ろに隠れる。そもそも大きすぎて隠れきれていない。
照れ屋なのか恥ずかしがり屋なのからどちらにしてもAに対する興味が、悟空の中から消えることはない。
「オラのこと、怖いか?」
「…怖くない」
「じゃあ、こっち来いよ」
「…ごくー、齧らない?」
「齧る?齧ったりするもんか。ほら、来いよ」
ベジータに顔色を伺うようにすると、ふんと鼻を鳴らされるばかりで何も帰ってこない。
ベジータからそっと離れて、太陽の下へ顔を出す。眩しさが一層輝き、彼女は悟空に抱きついた。
「うお、ははは、冷たいなぁ!」
「…ごくう、は」
「うん」
「べじーたより、大きい」
「うるさいぞ」「なはは!」
「ごくう」
「ん?」
「助けてくれてありがとう」
「あっ、おめぇ覚えてたんか!?」
Aは首を横に振る。それからやはり鈴の音と聞き間違う美しい声で「知ってる」と答えた。
2人が首を傾げるとAは悟空から離れてトランクスと悟天のところへ向かった。2人は心配したよとはしゃいでいる。今度は魚が寄ってくるか試すらしく2人に手を繋がれて山の方は消えていった。
「ベジータ」
「なんだ」
「なんであいつのこと、守ったり庇ったりしたんだ?」
「…さあな。俺にもわからん」
彼は子供たちの後を追うように飛び上がっていった。
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メルト(プロフ) - どでぃさん» ありがとうございます!本当はスパヒ始まる頃に終わらせておくつもりでした!無理でした! (2022年7月28日 22時) (レス) id: 465e22fbd6 (このIDを非表示/違反報告)
どでぃ - 面白いです!すっごい続き気になってます、更新頑張ってください。 (2022年7月28日 11時) (レス) @page49 id: 8e1c6e0d2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:メルト | 作成日時:2022年5月3日 0時