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2人の拳はドミヌスに届かず、受け止められ、逆に体を浮かされてそのまま2人まとめて壁にぶん投げられた。
最初に起き上ったのはベジータで、下敷きになった悟空は続いて飛び掛かる。
「でやああ！」「おおお！」
ウィスに鍛えられたコンビネーションも偽りの神の前では錆びた刀のようだった。交わされて当たらない。受け止められてびくともしない。ドミヌスの静かな目がベジータの怒りをそっと扇ぐ。何度目かの攻撃をして、ベジータは舌打ちをして「カカロット！」と声を張り上げた。
「このクソッタレの娘のいる場所に向けてかめはめ波を撃て！」
「は！？そんなんしたら、あいつ死んじまうんじゃ！」
「いいからやれ！本気でだ！」
「え、えー！？わかった、やる、やる！」
ドミヌスの涼し気な顔が歪んだ。その一瞬をベジータは見逃さなかった。ボッと体を燃え上がらせる。赤い髪に変わったベジータはドミヌスの不意を突いて足を掴みぶん回した。
「放せ！」
やっと荒げた声を聞けてベジータの溜飲は下がり、「放してやるとも」と言いながら悟空の眼前に放り出した。直後、かめはめ波が直撃する。悟空も目の前に割りこんで来たドミヌスに驚きはしたものの、しめたとばかりに気を全力で出した。宇宙へ吹き飛ばすばかりに。
その隙にベジータが軽い気弾を撃って十字架を破壊した。
正方形のブロックが崩れていく。白い巨塔のような十字架が分解されていく。Aは重力に従って落下する。それを受け止めたのは悟空だった。
「ごくう、ごくうだ。ごくう」
「おう！」
「来てくれた。来ないでって思ってたのに。嬉しい。会えたの、嬉しい」
Aは子猫のように悟空にしがみついた。飛んできたベジータの頬に触れて「ありがとう」と笑った。彼女の掌に開いた穴から液体が零れている。茨の冠に焼き目をつけて、彼女の髪を燃やさないよう慎重に外した。
背中には何か刺さったような痕と、引っかかれたようなヒビがあった。端麗な顔にも茨の棘が刺さったらしい痛そうな痕が残ってしまっている。彼女の涙は透明だった。
海中時計を確認すれば青い魚は死んでいた。黄色の魚は苦しそうに悶えている。
「おいカカロット、瞬間移動だ。さっさとウィスのもとへ」
パリン！
ベジータの掌にあった海中時計が割れた。生えたような矢が一本。貫通しなかっただけまだマシだが、すっかり忘れていた。敵はこのエデンそのもの。
ウィスの時間制限はこのためか。
三時間で帰ってこい。三時間で帰って来なければ、死んだものとする。
そういうことだったのか。
無数の天使の群がこちらに弓を引いていた。
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メルト(プロフ) - どでぃさん» ありがとうございます！本当はスパヒ始まる頃に終わらせておくつもりでした！無理でした！ (2022年7月28日 22時) (
レス) id: 465e22fbd6 (このIDを非表示/違反報告)
どでぃ - 面白いです！すっごい続き気になってます、更新頑張ってください。 (2022年7月28日 11時) (レス) @page49 id: 8e1c6e0d2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：メルト | 作成日時：2022年5月3日 0時
