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「とらんくす」
「何？Aさん」
「ごてん」
「なにー？」
目覚めてからは好奇心旺盛な2人がAの足元をうろちょろして、名前を教えている。猫からネズミに至るまで、彼女は何も知らないし、全てを知っているように懐かれている。
子供たちが戯れる中でAは白いノースリーブのワンピースに身を包み、キラキラ光って、宝石そのもののようだった。
ジャコを呼びつけてエデンという星について尋ねると、どうも伝説も伝説、絵本になる程度の話らしい。
浮遊惑星エデン。不定期にワープし、各宇宙を浮遊する。その実態は明らかになっていない。ナメック星のようにたった1人の親から生命体が生まれているらしく、また惑星エデンの周りを衛星を初めとした星たちが動いているという。
つまり惑星エデンは銀河系エデンと言い直す方が正しい。もっとも、そんなことはあり得ない。ブルマは科学者だからこそ知っているが、だからこそエデンなのだろう。
楽園などと笑わせる。宇宙の科学者が。
「Aさんすげー！！！全部寄ってくるじゃん！！」
「かっこいー！僕も、ねえ僕も！」
「よーし、じゃあ俺、あそこの鳥取ってくる！」
「ま、って。とらんくす、危ないよ」
「平気だよー！！！」
2m程度の少女というのは遠くから見ても目立つ。
ベジータは彼女を観察して、眉間に皺を寄せていた。自分の妻も大層美しい方だとはおもっていたが、それ以上に彼女は人離れしていて、肩に鳥を乗せて足に猫を添わせる様子は楽園からの来訪者に遜色ない。
「ねえ、ベジータ」
隣に立って、お気に入りのジュースを啜る妻も彼女に釘付けだった。
「あの子、齧るの意味わかってるのかしら」
「さあな」
黒曜石のような身体を齧るのは、きっと悟空とて難しい。
Aはトランクスの後を追って木に登るが、大きな体に比例する体重で枝がみし、みしっ、と軋んでいる。その亀裂をベジータは見逃さなかった。
「あ」
Aの体を乗せた枝が根元から落ちて、地面に叩きつけられる直前、ベジータは圧倒的な速さで彼女のもとへ行き抱きかかえた。
衝撃と突然のベジータに驚いて、彼女は目をまん丸に開いたが、彼の足元に落ちた枝と慌てている子供の様子を見て助けられたのだと悟った。ぎこちなく硬い笑顔でお礼を言う様は無駄に長い手足を削ぎ落とすべきだと彼に判断させる。
「あり、がと、う。えと、あう」
「ベジータだ」
「べじーた。ありがとう」
王子様みたい、まあ王子なんだけど。
ブルマは嫉妬心すら湧かない自分に違和感を覚えることなくストローでジュースを飲み切った。
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メルト(プロフ) - どでぃさん» ありがとうございます！本当はスパヒ始まる頃に終わらせておくつもりでした！無理でした！ (2022年7月28日 22時) (
レス) id: 465e22fbd6 (このIDを非表示/違反報告)
どでぃ - 面白いです！すっごい続き気になってます、更新頑張ってください。 (2022年7月28日 11時) (レス) @page49 id: 8e1c6e0d2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：メルト | 作成日時：2022年5月3日 0時
