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ブルマとAは一緒に寝ている。起きる時は大抵、寝たふりをしたAがブルマにおはようと挨拶しながら目を覚ます。
別荘でもそれは変わらない。
ベジータと寝ても構わないし、悟空と寝てもいいと言ったのだが、彼女は頑なにぶるまさんが良いと言った。そう言われたら悪い気はしない。ブルマはそのまま彼女と寝ることにした。
今日も白夜だ。
しかし朝になると太陽は一つしかなく、Aは先に目覚めたらしくベッドから居なかった。ただ抜け殻のように服が転がっていた。
ひたすらに嫌な予感だけを感じ取って、ブルマはベッドから飛び降りて、早朝4時の別荘地をパジャマのまま駆け回った。
「A!Aどこ!!」
名前を呼びながら走るブルマに、もともと野蛮なサイヤ人が目を覚さないわけがなく、30分も経てば全員がAを探し求めていた。
ベジータと悟空があーしろできないこーしろ無理だと問答を繰り返している。光玉は形跡も残さず消えていた。そもそも彼女には気がない。こちらから彼女に対して何かできるとは思えなかった。
「たしかエデンって宇宙と宇宙の間を移動するんですよね」
手を貸せと呼び出された悟飯とピッコロが眉間に皺を寄せている。
「そうなると、父さんの瞬間移動でも無理ですよね」
「そもそも不定期にワープするとなると、どこにいるのか捕まえるのも難しいだろう。正直言って、地球規模ならなんとでもなるがこうなると…」
「そんなことばっかり考えないで!あの子を探して見つける方法を考えなさいよ!」
ブルマの叱責…というか横暴に、2人は押し黙る。
「どうかされましたか?」
動揺する様子もなく、飄々としたウィスが訳知り顔で尋ねてきた。
全員が寝静まったのを耳を澄まし、感知してからAはベッドからこっそり抜け出て服を脱ぎ、窓を開けて、4階から地面に降りた。
音一つしない着地と、やはり誰も起きていないことを確認して、ゆっくり歩き出した。
「どちらへ行かれるんです」
ぴたりと足を止めて振り返ると、そこにはウィスとビルスがいた。眠そうなビルスを一瞥して、Aは誤魔化すように微笑んだ。
「寝てていいのに、どうしたの。こんな時間に」
「それはこちらのセリフですよ。…原罪の象徴さん」
Aは今度は困ったように笑う。全裸でも臍以外なにも見当たらない体が、骨の隆起すらも美しい。
「それ、嫌い。やめて」
「そうですか」
Aはじっとブルマのいる部屋を見つめた。
光玉の光すら遮断するカーテンしか見えなかった。
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メルト(プロフ) - どでぃさん» ありがとうございます!本当はスパヒ始まる頃に終わらせておくつもりでした!無理でした! (2022年7月28日 22時) (レス) id: 465e22fbd6 (このIDを非表示/違反報告)
どでぃ - 面白いです!すっごい続き気になってます、更新頑張ってください。 (2022年7月28日 11時) (レス) @page49 id: 8e1c6e0d2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:メルト | 作成日時:2022年5月3日 0時