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「お前にも、俺以外に友人ができるといいんだがな」
蛇の舌先にAは花の冠をつけている。ここは死の惑星。突然変異で現れた毒の花の、その花粉により生態系が壊滅した星だった。
残骸とも取れる廃墟にも花が咲き、この星は一面白い死の花で覆われた。この星が滅んだのはたった一ヶ月だった。
星を何重にも覆うほど、蛇は大きく長かった。
「ゆーじん」
「おともだちだ」
「蛇じゃだめ？」
「バカ言うな、俺はお前の友達だ」
「なんでいる？」
Aはすでに1200年の時を生きているが、身長は伸び悩んでいた。素っ裸なのも忍びない。蛇は彼女を隠すように頭を傾けた。
「お前を理解し、愛してくれる存在は、必ずお前を幸せにする。始まりも終わりも幸せでいてほしいのさ」
黒光りする一つの果実が変貌した様を今も覚えている。
アダムとエバに齧られた部位は臍になり、彼女は眠ったままで、急いで口の中に隠した。飲み込まないよう注意した。
光の速さで移動して、体積がなくなるその反動。蛇はぐんぐん体を大きくしていった。どこぞの星ではこれを解明した奴がいた。光の速さで移動すると大きさも重さもなくなるらしい。
伊達に父が作った体ではない。
しかし彼女は何の影響もでていなかった。法則すら超えているのかもしれない。
「私、今幸せ？」
Aは首を傾げ、蛇の上によじのぼった。
「そうだと思うか」
「うん！」
元気に答える彼女の声に、何も言う気力がなくなる。
美しい子だ。その見目も、その声も、その思考も。あの父が何を望んだのかわからない。どうして食べてはいけない実を作ったのだろう。ただのおとぎ話の模倣ならいいが。
「何か食べたいものはあるか」
「お腹、減ってない」
「お前はいつもそれだな」
蛇はAを背中に乗せて、花を散らしながら街を闊歩した。
廃墟の外壁にも根を張る花は、宇宙から来た外来種だった。蛇はその花と共生している別の惑星を知っている。
花は単為生殖で硬い地盤に根を張るが、花自体は2ヶ月余りで枯れてしまう。根が張った分柔らかくなった土には新しい命がやどる。元々毒は持たなかったが、この星に来た時に単為生殖から有性生殖に変化し、まわりの植物を枯らす勢いの毒を作ったようである。
もっとも、強烈すぎて星の生命が停止したようだが。
「へびー！見て！おっきな機械！」
「お、説明できるか」
「うん！これはね、人工太陽の機械！」
「そうだな、正解だ。知見だけは誰よりも広いぞ」
「うへへ」
鐘の音はまだ遠い。
浮遊星に追いかけられるのは、この世で彼女と自分だけなのだろうと。
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メルト(プロフ) - どでぃさん» ありがとうございます！本当はスパヒ始まる頃に終わらせておくつもりでした！無理でした！ (2022年7月28日 22時) (
レス) id: 465e22fbd6 (このIDを非表示/違反報告)
どでぃ - 面白いです！すっごい続き気になってます、更新頑張ってください。 (2022年7月28日 11時) (レス) @page49 id: 8e1c6e0d2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：メルト | 作成日時：2022年5月3日 0時
