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仙豆を食べたベジータの傍らで、悟空の真似をしながら食事をするAを、ブルマはじっと見つめていた。
その視線を知っていて、悟空は不躾になあと彼女の肩を叩いた。加減を間違って、Aはラーメンに顔を突っ込んだ。汁だらけになったのを拭きに行こうとしたブルマからタオルをひったくったのはベジータだった。
「わりー」
「いいよ。何？」
「お前よ、なんでエデンから落ちちまったんだ？良い星だったんだろ？」
「…うん。とっても綺麗な星だよ」
「じゃあ、なんで？」
「…あの、ね、私、4000年くらい色んな宇宙を回ってたの。蛇と一緒に」
「へび！？」
悟空の声にAは嬉しそうに笑った。
「とても、美しい、大きな蛇だった。蛇は色んな事を知ってたの。惑星じゃ、誰も知らないこと。どうして水は宇宙を飛び出さないのか、どうして惑星は惑星同士でぶつからないのか、どうしてエデン以外は消されたのか」
ベジータは彼女のラーメンの油を拭うためにごしごしと顔を擦っていた。それも気にしていない様子だった。
「エデンから逃げたのは、最初は蛇に連れていかれたから。でも、宇宙の始まりも、終わりも、エデンにいなかったから見れた。蛇と一緒なら、何処までも行けた。光より早く、宇宙の外で蜷局を巻いて、あの子は、本当に素敵な子だった。それを、」
お父さんは、殺したんだ。
鈴のような声が、風鈴のような静けさを帯びて、彼女以外の音を掻き消した。ぞっとするような美しい声色で、冷えた言葉を発していた。
「お父さんって、何？」
ブルマは恐る恐る口にした。Aは、温くなったラーメンの油を覗いていた。
「それがね、蛇を殺される前後の記憶が曖昧で覚えてない、ごめんね。でもこれは覚えてる。お父さんは私をずっと求めてる。どうしてかは分からないけど」
第二の太陽を見上げて、Aはすぐに目を逸らした。今もあいつはここを見ている。
「…私、もうすぐ帰るよ」
「え！？なんで」
悟空が飛びつくように尋ねた。それをみてへらりといつものように笑う。本当に困っているようにも見える下がり眉が、今は不明瞭だ。
「ここを滅ぼすなんて嫌だ。だってどうせ勝てない。2人は私より弱い」
ぐさりと刺さることを。ベジータは折られた腕を摩って、ふんと鼻を鳴らした。
「お父さんは私よりずっと強い。徹底的だよ。きっと、身も心も残らない」
眩しい日差しの中、彼女の言葉は重くのしかかる。
サイヤ人の進化に賭けるには、彼女の父は余りにも風情のない殺し方をするだろう。
彼女の背中がそう語った。
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メルト(プロフ) - どでぃさん» ありがとうございます！本当はスパヒ始まる頃に終わらせておくつもりでした！無理でした！ (2022年7月28日 22時) (
レス) id: 465e22fbd6 (このIDを非表示/違反報告)
どでぃ - 面白いです！すっごい続き気になってます、更新頑張ってください。 (2022年7月28日 11時) (レス) @page49 id: 8e1c6e0d2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：メルト | 作成日時：2022年5月3日 0時
