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「へび あれ なに？」
「お前いつになりゃ喋れるんだ、これじゃろくすっぽ会話も進まん」
「へび」
子犬くらいの大きさになったAを背中に乗せて、蛇は銀河の合間を縫って泳いだ。時が経つのと同じくAと蛇は大きな体に成長しつつあった。
「へび」
「うるさい。あれは太陽。太陽系の中心にあって重く大きな熱の塊だ」
「あつい いや」
「知ってる。おお、見ろ、A。地球があるぞ」
「ちきう」
鱗を掴んで、Aは青く美しい星を見上げた。
「エデンに似ているな」
「ちきう きれい」
「そうだなぁ。お前がもっと大きくなったら行けばいい。今はまだ、争いも絶えん醜い星だ。今のままではお前は砕かれて、塵となるだろう」
「へび」
Aが蛇の顔を覗き込んでにこにこ笑う。全体的に潰したような笑みだ。
「へーび」
「うるさいうるさい。なんだ？」
「へび エデン くる？」
「いや、今帰ったところでまた雷が刺さるだけだろう。あの親父、作っておいて何様だ」
「へび エデン いや？」
「嫌だね」
「わたし も！」
「…ははは！！お前、その歳でもう気づいたか？そうさ、あそこは楽園なんかじゃなくて、ただの檻。お前みたいな異分子を、アダムとエバのような砦を、ただ手中に納めて満足してただけ」
「へび つぎ あっち」
「いたた。鱗を剥がすな。そっちか？そっちは、最近全王が消した宇宙の洞だぞ？何もない」
「何もない ある」
「哲学者の素質があるな」
蛇はぐるりと迂回し、第七宇宙の太陽系が一巡する時間をかけて、散歩がてら太陽系を覗き見した。洞に向かうのは光よりも早かった。
太陽系に比べて何もない洞を、Aは満足げに見て、蛇の鱗を引っ張った。
「へび あそこ」
「おやまあ、エデンの軌道だ。もう見つけたのか」
「おとーさん くる？」
「来るもんか。あいつはお前を追ってるだけだ」
「やだ」
「やだよなぁ。俺も嫌だ」
蛇はちろちろと舌先を出して、ぐーっと後ろに頭をもたげた。Aの頬を舐めると、彼女はきゃーっと言いながら笑っている。
「もし、あいつが俺たちのところに来たら。お前、どうなっちまうのかな」
「へびと いっしょがいい」
「そうだなぁ、一緒だったらなぁ。だがまあ、多分俺は死んでるから。その時は、そうだなぁ、この長い体でなんとか一矢向かいたいところだ」
「へび すき へび いっしょ」
「俺のことそんな風に言うの、お前くらいだぞ」
追いかけてくる鐘の音が、娘を返せと怒鳴っているような。無視をして、Aの指差す方向へ進んでいった。
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メルト(プロフ) - どでぃさん» ありがとうございます！本当はスパヒ始まる頃に終わらせておくつもりでした！無理でした！ (2022年7月28日 22時) (
レス) id: 465e22fbd6 (このIDを非表示/違反報告)
どでぃ - 面白いです！すっごい続き気になってます、更新頑張ってください。 (2022年7月28日 11時) (レス) @page49 id: 8e1c6e0d2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：メルト | 作成日時：2022年5月3日 0時
