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デパートの最上階にはレストラン街があり、カプセルコーポレーションの現社長であるブルマにとっては端金だが、高級料理がずらりと並んでいた。
ディスプレイに並ぶ食品サンプルを見て、声を漏らすAを横目に、ブルマは何を食べたいか尋ねた。
しかし彼女は服屋を見た時と同じく困った顔をしている。
彼女に食事を出した際、なんでもゆっくり食べていた。異質の民だ、こうして好みを聞き出すのも難しいことなのかもしれない。
「じゃあ、ここにしましょうか」
ブルマが指差したのはオムライスの専門店だった。
「テーブルマナーくらい知っておかないとね」

窓辺の席に案内される。時間は昼前だからか、思っていたよりもがらんとしていた。
昨日は何を食べただろうか、たしか、しゅうまいと、にくまんと、ふかひれのすーぷ。美味しかった。おむらいすとはどんな食べ物なのだろうか。
疑問に思いながらブルマの真似をしてメニューを開く。
表面がドロドロした黄色いものの上に赤い血のような液体がかかっている。断面図にはこれまた赤く染まったご飯と、刻まれた野菜。
「ぶるまさん」
「あら、もう決まった?」
「…これ、何?」
「あっははは、怖がってる?大丈夫よ。美味しいから。あんた嫌いなものある?」
「…辛いの、苦手」
「そう。えーっと、じゃあ、とりあえず普通のやつにしましょうか」
「うん」
「足りなかったらまた食べて良いわよ」
ブルマは店員を呼び、注文を終える。ブラがいるベビーカーを揺らしてあやしている。
「…」
「どうかした?」
意外とこちらの雰囲気に過敏な女だ。Aは何か言い淀み、こちらを上目遣いで見ていた。
「ほ、ほんとう、はね、お腹、空いてないの」
言いにくそうに口をモゴモゴ動かして、彼女は忙しなく落ち着かない体を揺らしていた。
「あらやだ。食べきれない?」
「ううん、そうじゃなくて。食べなくても、いいの。お腹、空いたことなくて。人間って、生きるのにお金がいるんでしょ?どこの世界もそうだった。お店は、お金がかかる。たぶん、ここもそう」
「あらあらあら、そんなこと気にしてたの」
ブルマはサービスの水を一口飲んで、幼児に向けるように笑った。
「私、サイヤ人2人を満腹にさせられるくらいお金持ちなのよ。気にしなくて良いわ」
「…ほんと?」
「本当」
笑顔のブルマを見て、ようやく彼女は落ち着いたらしい。
オムライスの食べ方を覚えたら、次はイタリアンにでも連れて行こうか。フレンチのフルコースはまだ早いかな。

ぴかっ

閃光のような激しい光が窓ガラスをぶち破った。

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メルト(プロフ) - どでぃさん» ありがとうございます!本当はスパヒ始まる頃に終わらせておくつもりでした!無理でした! (2022年7月28日 22時) (レス) id: 465e22fbd6 (このIDを非表示/違反報告)
どでぃ - 面白いです!すっごい続き気になってます、更新頑張ってください。 (2022年7月28日 11時) (レス) @page49 id: 8e1c6e0d2a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:メルト | 作成日時:2022年5月3日 0時

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