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「かいもの？」
「そう、あなた、ここでしばらく暮らすでしょう？」
ブルマはふふふと笑ってAの手を握った。
「どれくらいかはわからないけど」
「でも、お父さん、すぐ来るかも」
「いいのいいの、さ、こっち来なさい」
この女の考えることは分かりかねる。死ぬかもしれないのに、今更何を自分に教えようというのだ。
椅子に座らされて、鼻歌を歌うブルマを待つ。彼女はドロリとした肌色の液体を筆につけてAの顔に塗った。びくっと体が跳ねたのを見て、くすくすと笑う。
「ごめんなさいね、今の姿じゃみんなびっくりしちゃうから。ただでさえ大きいのに。これはね、うちが開発してる人工皮膚。乾いたら3日は落ちないわよ」
「へぇ」
人間と同じ姿になっていく自分を鏡で見る。まじまじと見続けていると寝ぼけ眼でトランクスと悟天がやってきた。それから肌の色が変わった彼女を見て悲鳴を上げた。
薄く化粧を施して血色を良くしてやると、ただ大きいだけの美少女に生まれ変わった。
ブルマは自慢げに鼻を鳴らし、服を用意させ自ら着付けした。
「どうして、ぶるまさんは、私に優しくするの？」
「え？」
当然の疑問だった。異星人である、地球を滅ぼす要因。そんな彼女をなぜ甲斐甲斐しく飾るのか。
「私だったら…きっと、寂しいと思ったからよ」
科学者のくせに直情的に動く彼女をやはり不思議そうに見つめていた。真っ赤な熟れたリンゴの瞳は、全てを知っていて何も知らないようだった。
「べじーたも？」
「あいつは、そうね、多分あんたのこと子供だと思ってるんじゃないかしら」
「ごくーは？」
「あれはバカなだけよ」
「…かいもの」
「うん」
「楽しみ」
「そうね」
彼女は笑うのが下手くそだ。にへ、と口を非対称的に歪めて、目を細める。それがまた幼くて愛らしい。
ブルマはお気に入りのネイルを彼女の爪に施した。真っ赤で派手すぎるとベジータに叱られたためパーティー以外ではつけない。
街の方ではまだ宴が続いているらしい。
「べじーたとごくう」
Aは綺麗に飾られた爪と自分を見て、小躍りするように鏡からブルマに向き直った。黄金の髪が散って揺れる。
「見せたい、から会いたいな」
星の危機だと彼女が泣きながら言うから、彼らは修行に出ているのに。忘れたのだろうか。
いや、忘れていて構わない。彼女の涙はなんというか、溢れるだけで一億はくだらないような宝石に見えたのだ。
Aの手を握り、ブルマは「可愛いわよ」と言った。
彼女がそっと頭を低くするから撫でてやった。
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メルト(プロフ) - どでぃさん» ありがとうございます！本当はスパヒ始まる頃に終わらせておくつもりでした！無理でした！ (2022年7月28日 22時) (
レス) id: 465e22fbd6 (このIDを非表示/違反報告)
どでぃ - 面白いです！すっごい続き気になってます、更新頑張ってください。 (2022年7月28日 11時) (レス) @page49 id: 8e1c6e0d2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：メルト | 作成日時：2022年5月3日 0時
