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パオズ山の中に孫家の家がある。
教育熱心な母親と、その母親に育てられた息子が2人、それから、基本的な子育てには熱心ではなかったが息子たちを愛し戦士として育てる自由奔放な父親。
結婚した長男も久々の帰省に羽根を休めているところで、山がえぐれるほどの手合わせをしたところだった。
この家は地球人でない奴らが3人いて、またその3人もメチャクチャな大食いだった。彼らを満足させられる母親ことチチは、その腕前を持つだけの女ではなかった。
「チチ!おかわり!」「僕もお願いします」「僕も!」
「はいはい、だどもまあ、おめぇたちほんと飽きねぇだなぁ。元気なのは良いことだけんど、あんま山を壊さねぇでけれ」
「へへへ」
その度量もまた、孫悟空に取っては代え難いものだった。他の女ではこうもいくまい。まあ、彼の場合はそんなことも考えずこの女を愛していたのだが。
そして息子2人もこの母親の厳しいところと、それに釣り合わない部分で甘いところが大好きだった。
平和な孫家の食卓に並べられた巨大な小籠包の湯気が天井を這う。そんな夜空に輝くのは、弧を描きパオズ山に向かう一つの落下物。
大気圏で燃えたその物体は眩い光と共に山の麓へ叩きつけられた。地響きがまるで神龍の唸り声のように響き、山の揺れに地震かとチチが悲鳴を上げた。
「チチ!」
「父さん、僕見てきます!」
「頼んだぞ悟飯!悟天はこっちに!」
「僕も行きたいよぅ」
家族の声が聞こえなくなるまでそう時間はかからなかった。孫悟飯は上空から地響きの原因を探した。それはあまりにもわかりやすく火を吹いて、悟飯はぐっと腰に力を入れた。
どうしたことか、気を感じられない。第九宇宙の連中か。それとも、新しい敵か。
「どうだ」
悟空も同じように火の柱を確認して、睨みつけていた。
「あれ、何だと思いますか」
「わかんねぇ…けど、何か、いるぞ」
「ええ」
「気をつけろ」
「はい」
戦士としての勘が、少なくとも地球のものではないことを訴える。
火の柱が徐々に小さくなり、山にも燃え移っていないところを見て、その物体をようやく視認できた。
楕円の虫の卵のような、黒い物体だ。焦げて炭になっているようだ。
悟空は悟飯に待機させ、1人その物体を直接触って確認する。ぼろ、と崩れるそれはまるで原型を止めるのも難しい様子だった。
全ての殻を払った後、悟空はギョッとし、上空にいる悟飯も唖然としてそれを見ていた。
体長2mほど、細身の女らしきものが胎児のように丸くなっていた。

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メルト(プロフ) - どでぃさん» ありがとうございます!本当はスパヒ始まる頃に終わらせておくつもりでした!無理でした! (2022年7月28日 22時) (レス) id: 465e22fbd6 (このIDを非表示/違反報告)
どでぃ - 面白いです!すっごい続き気になってます、更新頑張ってください。 (2022年7月28日 11時) (レス) @page49 id: 8e1c6e0d2a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:メルト | 作成日時:2022年5月3日 0時

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