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Point of view : Lucas
「ルーカスくん、さ」
「はい。なんでしょう」
「……リアーナと君は仲が良かっただろう」
「仲が良い、というか、まあ……」
礼拝から帰る時、インマヌエル様に呼び止められた。
あまり僕たちとの接触をしないインマヌエル様が、
僕に話しかけてくるなんて。何かしたとしか考えられない。
リアーナ様に近づきすぎた？
リアーナ様を本名で呼んだから？
次に何が言われるかが怖くて、心臓が大きく鳴る。
「……取引をしないか」
「取引、ですか」
「そう。この教会にはリアーナが必要なんだ」
「僕もそう思います」
「だろう。それで、リアーナと仲が良い君に提案がある」
「なんでしょうか」
「リアーナをこの教会に戻してほしい。
もし戻したら、ルーカスくんをここで雇いたいと思う」
「……」
「どうだろう。
この教会で働けば、もっと神を近くに感じられる。
もちろん、生活も今以上のものを保証するよ」
「……」
「リアーナは君を信頼しているんだ。簡単だよ。
パッとご飯でも行って連れ戻せばいい。
リアーナは僕たちの光だ。
僕はルーカスくんの人生に、光を授けたいんだ」
憧れて入った外銀は、
全員がナポレオンのような睡眠時間で生活していて、
生活の中心に仕事があって、絶対にミスが許されなくて、
もう僕も限界に感じていた。
でもいいのだろうか。こんな簡単にキャリアを捨てても。
生活を彩る宗教を、僕の生業にしてもいいのだろうか。
「僕なんかで、いいんですか」
「ルーカスくんだから頼みたいんだ。
君ほど敬虔な信者はいないよ。君にこそ頼みたい。
これはルーカスくんにしかできない、特別な仕事だ」
「ありがとうございます……」
「使徒になって、こっちに来よう」
神が僕を呼んでいる。
この世の煩悩なんか、僕の考えなんか、
全知全能のインマヌエル様の足元にも及ばない。
何を迷っていたんだ。この方こそ正義だ。
僕なんかがインマヌエル様の使徒になれるなんて。
「分かりました。させてください」
「よし、取引成立だ。頼んだぞ」
「精一杯努力いたします」
その夜僕は、久しぶりにAさんにコンタクトを取った。
Aさんがあんな簡単に誘いに乗ってくれるなんて。
この取引は成功しそうだ。
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作者名：johnana | 作成日時：2022年2月14日 0時
