初めてのアイスクリーム ページ19
side.SC
「A〜アニメ始まるよ」
『う、うんっ』
俺とAの日課となった、朝の子ども向けアニメの鑑賞会。
名前を呼ぶと、当たり前のように俺の膝の間へぽすん、と収まるAに思わず口元が綻ぶ。
初めの頃は「ここに座って」と俺がお願いをして座ってもらっていたけど、今ではAが先にテレビの前に座っている時は逆に早く早く、と自分の後ろに座るよう促してくる。
もう本当に、めちゃくちゃ可愛い。
ねえAヤ、俺に心を許し始めてくれてることがわかって嬉しいからさ、他のやつにはまだこんな事させないでね。
《
『あいす、くりむ、もこ…しぷた……』
「ふふ、」
『…………』
「A？」
『っあ、な、なんでも、ない、よ』
「？」
いつものように、時折キャラクターの言葉を繰り返しては会話の流れを掴もうとするAにうんうん、と頷いていると、珍しく途中で言葉に詰まってしまってしまった事に驚いて声をかけた。
結局何もなかったかのように続きを見始めたけれど、どこかそわそわしているようなAが気になる。
なんでもない、と言っている以上詮索するのは野暮だろうか…
今夜ジョンハンに相談する事にしよう。
JH「今日はどうだった？」
「それがさ、アニメを見てる時に、途中でだんまりになっちゃって…」
JH「お？どうしたんだろう」
「声はかけたんだけどさ、何でもないって言うから深くは聞かなかったんだ…」
JH「俺はそれでよかったと思うよ。それで…そのだんまりになっちゃう前は何かあったの？」
「う〜ん…体調が悪いとかは多分なかったと思うんだけど…確かアニメで、"アイスクリームが食べたい"ってところが流れてから…喋んなくなっちゃったんだよな…」
JH「…アイス……もしかして、食べたかったのかな？」
「え…」
JH「Aにまだ、食べさせてあげた事なかったよね？」
「っあぁ……！そうか…！！俺、何で気づかなかったんだろう…」
JH「スンチョリはA自身のことを心配してあげてたでしょ。逆に俺はそんな所にまで気が回らないかもしれないから、スンチョリが見ててくれて良かったよ。アニメのことだって、よく覚えてくれてたから解決できそうだしね」
「ジョンハナ……」
JH「明日、買って帰ってきてあげよう？」
「っあぁ…！」
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作者名：さくらんぼ | 作成日時：2023年10月29日 19時
