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「ヌナ、はいっ」
『…？あっ！これ、りんご、かいてあるっ』
「あはは、りんごジュースだもん！」
『りんご、じゅーす…』
「ヌ、ヌナにあげる」
『わ、』
なんだか気恥ずかしくて、押し付けるように渡してラーメンをすする。
両手でジュースを受け取ったヌナがなかなか動かないことを不思議に思ってちら、と目線を送ると、きらきらとした瞳で未だにパッケージを眺めていた。
「ヌナ、早く飲まないと、ぬるくなっちゃうよ？」
『こ、これ…りんご、ジュース？』
「そうだよ？…ああっそっか！いつもコップで飲んでるもんね！」
『(こくん)』
「開けてあげるっ！貸して？」
『う、うんっ』
「こうして押し出して、ここにさすの」
『わ、わあっ！』
「あはは、びっくりしすぎだよ！笑」
組み立て式のストローに感動(?)してまた動かなくなったヌナにほら、と今度はちゃんとジュースを手渡してストローを口元に持っていってやる。
恐る恐るちゅ、と少し口にすると大きな瞳をさらに大きくして『おいしいっ』と笑ったヌナに釣られて俺も笑顔になる。
『わたし、りんご、すきなの』
「…知ってるよ。ちゃんと、知ってる」
『…チャンは、ほんとうに、やさしいこ、ね』
「…っ」
『ありが、と』
両手で大切そうにジュースを持ってちまちまと飲み進めるヌナ。
たったのジュース一本でこんなにも喜んでくれるなんて、思ってもいなかった。
『チャン、』
「うん？」
『わたしが、おりょうりねえ、できるよう、なったら』
「うん、」
『チャンのすきなもの、たくさんつくって、あげる、ね』
「っほんとう？」
『おにく、たくさん、ねえ、ふふ』
「ふふ、うん、俺肉大好き！！」
『やさいは、そんなに、ね』
「できればなしにして！笑」
『べつにたべなくても、へいき、へいき』
「っあはは！ヌナもそういうこと言うんだ！」
『ふふ、わたしも、ちゃんと、しってるよ』
「ヌナ…」
『ちゃんとみてる。チャン、がんばってる。わかってる、よ』
「…っ」
"ちゃんとみてる"そう言われるだけで、こんなにも心が救われるだなんて知らなかった。
「ねえ、ヌナ、」
『？』
「…あ、えと」
"これからもずっと、俺たちといよう？"
「ら、ラーメン美味しい！作ってくれて、ありがとう」
『ふふ、』
いつか、必ず。
伝えるから。
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作者名：さくらんぼ | 作成日時：2023年10月29日 19時
