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《今日、家行ってもいい？》
先程の件から約30分、この通知を表示する携帯を前に正座している。
うんと言うべきだろうか。そう迷っているのにも理由がある。
今まではウォヌに女の子らしいと思って欲しかったから、部屋はピンクを基調としたガーリーなテイストだったが、何ヶ月か会わないうちにジョシュアくんのポスターやグッズの祭壇ができてしまったのだ。
とりあえず、ポスターは剥がそう。グッズはクローゼットに入れておこう。ぽいぽい投げたい気持ちをグッと抑え丁寧に扱った。高かったので。
オタクの悪い癖で、片付けている際に本を見つけると読んでしまう。この私がハマっている乙女ゲームが単行本として出版されたものが出てきて、つい手に取ってしまったのだった。
まだ来ていいという連絡をしていないから大丈夫であろうと油断し、ルンルンで読んでいた。
そう、携帯からなる通知音に気づかないほど……。
《ていうか、もう着いた。》
こんな連絡が来ているとも知らずに。
*
ピンポーン
「えっ」
う、うそ。まさか、ウォヌ？いや宅配便かもしれない。きっとそうだ。
気づいたらまたあれから20分ほど経過していた。
慌てて携帯を確認してみるともう着いたとのこと。
こんなこと、今まで無かったのに…。周りを見渡すと全く片付けられてないどころかむしろ散らばって汚くなった部屋が目に入る。
バタバタと玄関まで行き、まだ待ってと言おうと思い鍵を開け、ドアの隙間から顔をひょっこり出す。久しぶりに見たウォヌは相変らずカッコよかったし、絶対ありえないけどなんか背も大きくなってるような気がした。
「ウォヌ、ごめん。今部屋片付けしてる最中で到底見せられるような感じじゃなくてさ。」
ウォヌはじっ、と私の目を見た後、はぁと息を吐いて腕をさする。
「ふーん、まあ寒いからとりあえず入れてほしい。」
「え、いや、ごめんほんとに今はちょっと…」
「片付けって、自分の部屋でしょ？リビングでいいから上がらせてよ。それもだめ？」
確かに肌寒い季節になってきたからこのまま外に放り出しておくのは可哀想だ。かといって上げてしまうのはリスクが高すぎる。ここは心を鬼にして…！
「また今度じゃだめかな？今日は帰ってほしいかも。」
「なんだよ、それ。浮気でもしてるわけ？」
そう言って私を責めているのに、今までに見た事ないような険しい、苦しそうな顔をしているのはどうして？
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作者名：あった懐炉 | 作成日時：2024年2月11日 21時
