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『Aちゃん、今日も可愛いね。』
『もっと顔をよく見せて…うん、新しいメイクもワンピースも、すごく似合ってる。』
『ねえ、手、繋いでもいいかな？』
「ふ、ふおおおおお…。」
私のスマホの画面上では、見目麗しい男の人たちが次々と私に甘い言葉を浴びせてくる。いわゆる、"乙女ゲーム"というやつだ。
ジュンのアイディアでは、ゲームをしたことがない私も一度やってみればハマって時間つぶしにもなるかもしれないし、彼女がイケメンに口説かれているのをみてついでに嫉妬させよう大作戦をやってみたら良いとの事だった。
そして生まれてこの方あまりゲームに触れたことのなかった私は、この乙女ゲームこと【君に捧げる17カラット〜Pretty U〜】にどっぷりとハマってしまったのだった。
13人のイケメンの中でも、わたしがハマっているのはジョシュア。紳士でスウィート、笑った顔が可愛いキャラクターだ。
「そうそう、私は彼氏にこれを求めていたの…！！ジョシュアくん、かっこいい…。」
ウォヌのことももちろん好きなままだが、今はウォヌに割く時間がもったいないと思ってしまえるほどにゲームに没頭していた。きっと、彼もこんな気持ちだったんだな。今なら理解出来る。
リズムゲーム要素もあったこのゲームでは、オリジナル楽曲に合わせて譜面をこなすことでポイントがもらえたり、ジョシュアくんからの好感度をあげることも出来る。これまた、曲が最っ高に良いんだ…。
「アジュ、ナイス、たん、たんたたたん、たん…」
この曲は私が1番お気に入りの曲で、最も難しいレベルをクリアするために何回も繰り返しやっている。
(う、上手く行きそう…！！！)
終盤にかかって順調に終わると思われたその時、ピロンッと携帯が鳴り、画面のバーに通知が降りてきた。
通知によってやや遅れた音、そして惑わされる視覚、フルコンボになりそうだった私の夢は潰えた。
「許せない…誰よ！送ってきたのは！」
相手に罪がないことくらいわかっているが、今回ばかりは名前を確認して通知オフにしてやらないと気が済まなかった。
メッセージを開いて先程の通知の主を見ると、なんと【チョン・ウォヌ】だった。
この男、自分から連絡を取るなんて3ヶ月に1回くらいしかないくせになぜ今…！画面を凝視しながら、私の手は携帯を握ったまま怒りと戸惑いでぷるぷると震えていた。
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作者名：あった懐炉 | 作成日時：2024年2月11日 21時
