PUP 24 ページ24
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久しぶりに2人揃って登校してきた私達は、クラスメイトやら知り合いやらに物珍しそうな顔で見られているのを感じる。
あの女の人、わんこって呼ばれてるらしい。とか、男の方イケメンじゃん。とか、あの二人は付き合ってるのか。とか、特殊性癖なのか。とかざわざわと聞こえてくる噂話に辟易とする。
朝から周りからの視線が痛くて、来たばっかりなのに帰りたい気持ちだ。私がジョンハンを避けていたほんの1週間くらいの間に、やっぱり別れたんじゃないかとみんなが騒いでいたらしいが、そもそも付き合っていないということを主張したい。
それでも、この繋がれた2つの手が全てを物語っているようで。
「ジョンハン先輩っ！あの、その女の人と付き合ってるってほんとですか。」
可愛らしい女の子の後輩たちが数人でジョンハンの元へ駆けてくる。ジョンハンは誰だか分からないという顔をしながらも、
「付き合ってないよ。まだ、ね。」
と含みを持たせた言い方をするから真ん中の女の子は今にも泣き出しそうな顔をして走っていってしまった。
周りの生徒に見られながらも教室を目ざして階段を登る。その間も手を離されず、混乱し続けた私の頭が限界を迎えそうだった。
「…ジョンハン、さっきみたいな言い方したら勘違いされてると思う。」
「いいんじゃない？させとけば。寄ってこられても困るし。」
私は女避けに使われているということなのか。少し期待しそうになった自分を冷ます発言を聞いて、浮かれていた自分が恥ずかしく思えた。必死に堪えて
「それでも、噂になったら大変じゃない。」
と言うと、
「お前とならいいよ。」
なんて、握った手を引っ張って足を止め、私の顔を見て神妙な顔で言うジョンハン。
(そんなこと言われたら、本当に勘違いしそうになる。)
冷めたと思った自分の心に火をつけられたような気持ちになり、正直に上がる体温をウザったく思う。
私のバカ、単純。
でも、思わせぶりなことばっかりして、肝心なことを言ってくれないジョンハンが、もっとバカ。
振り回される自分が嫌になって、鼻の奥がツンとしてきた私は俯いたまま「ごめん、でも私、しんどいよ。」と細く震えた声で言った。それってどういう、と言いかけたジョンハンを待たずに手を振り解き、登校してきた生徒の横を逆走していく私と、呆然と立ったままのジョンハン。
…私の泣きそうでぶさいくな顔、見られてなければいいな。
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作者名：あった懐炉 | 作成日時：2024年2月10日 21時
