PUP 20 ページ20
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別に、無理に今すぐ考えたらいいってもんでもないから、ドーンと構えてなよ。とジスくんが言ってくれた言葉を思い出す。
犬休業中の私は今、恩人に会っています。
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「わあ〜ヌナだったんですね。」
「あはは、そうやって呼ばれるの慣れないな。」
「可愛いからつい歳下か同い年かと、あっ、失礼だったらごめんなさい。」
「う、ううん。嬉しいよ。」
恩人とはもちろん、クォン・スニョンくんだ。
お礼になにかさせてほしいとこちらから連絡を取ったところ、《ご飯一緒に食べましょう！仲良くなりたいです。》との返事が。実際に会って話してみると、きらきらと輝く金髪に相応しい陽キャぶりだった。
(この話術、只者じゃない…！)
「それで、あのお兄さんは大丈夫でしたか？」
「っんぐ、ん。うん、もう治ったみたい。」
当然ジョンハンが頭を過り思わず飲んでいたカフェオレを喉に詰まらせる。
けほっと軽く咳をして調子を整えると、スニョンくんが次々と話題を振ってくれるため気まずい沈黙は訪れなかった。
そうやって少しずつ緊張も解け、お互いの目を見ることもできるようになってきた頃、パフェを頼んだ私はクリームを貪りながらスニョンくんと雑談を続けていた。こんな関係になるとは思わなかったから、偶然の出会いが縁を結ぶのは面白いな、なんて考えていると、
「やー、ヌナほんと可愛いね。」
スニョンくんは細い目をさらにきゅうっとほそめ、見るからにもちもちの頬を持ち上げて微笑んだ。
さっきまでは可愛い弟って感じだったのに、急に雰囲気が大人になったから驚いてスプーンを動かす手を止めてまじまじと見つめ返す。かわいいのは、君の方だと思うけど…。
「…？」
なんのことか分からないと私が首を傾げると、んふふと笑って、椅子から腰を浮かせた。軽くこちらへ前のめりになり手を伸ばしたと思ったら、私の口の端に親指を当ててくいっと拭き取り、「ヌナ、ついてたよ。うっかりだな。」と甘い声で言った。
クリームがついていたのだと気付いた私は羞恥で顔が赤くなるのを感じたし、もう無いのにゴシゴシと口周りを拭った。そんな私を見てまたスニョンくんは笑って、指についたクリームをぺろっと舐めてしまったのだった。
また顔をいちごより赤くして固まる私を見て、
「からかってないですよ。」
なんていうから、ジョンハンとジスくんとスンチョルくん以外に免疫のない私は小さな声で「そっか」という他ないのであった。
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作者名：あった懐炉 | 作成日時：2024年2月10日 21時
