PUP 19 ページ19
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「はあ……。」
「それ、今日17回目のため息ね。」
「…。ジスくん、数えてたの？」
「そんだけ吐かれればまあ。で、どうしたの？お嬢さん。」
ジョンハンと、気まずい。
あの後家に帰ってからはいつもなら22時までには寝れるのに、布団に潜ったあとも目が冴えてしまって結局寝たのは23時になってしまった。
ジョンハンは学校に復帰しているのに、あれ以来顔を見ていないのは私が避けているからだ。
私はなんのためにお見舞いに行ったんだろう。
ジョンハンがいなかったら寂しい、そう伝えたかっただけなのに。
「その感じだと、お見舞いに行った日になにかあったみたいだけど。」
「ジスくんってエスパーなの？」
いつも的確に私の悩みを察するジスくんに驚いて目をぱちくりとさせると、涙袋をぷっくりさせて「I'm on the Next Level〜」と上機嫌に口ずさみ、ご丁寧に振り付けまでこなしてくれた。
「あのね、キスしちゃったの。」
「……僕の聞き間違いかな。キスしたっていう風に聞こえたんだけど。」
「うん、合ってるよ。」
「えっと、誰と？」
「ジョンハンと。」
「…………はあ…。」
ジスくん、今日1回目のため息だよ。
「一体、どうしてそんなことに？」
「私も分からないんだけど、最初は私がしようとしてて、でもジョンハンが起きたと思ったら寝惚けてて、えっと、それで。」
「……最初は私がしようとしてて、って言った？」
「…うん。その時ね、ジョンハンがものすごく愛おしく見えたの。」
すごく可愛くて、かっこよくて、天使みたいに美しくて、なんか、なんていうか。
「キスしたいな、って思ったんだ。私、おかしいよね。」
「Aちゃんって、結構大胆…っていうか思ったら即行動派なんだね。はは、いや、面白いな。」
「好きなのかな、ジョンハンのこと。意識しちゃってるなんてバレたら馬鹿にされそう。」
私は、犬らしくジョンハンの隣で従順にいなければならないのに。
ジョンハンがたくさんの女の子に好かれて、めんどくさいっていつも言っているのを知っているから。
私だけはそうじゃない存在にならないといけないのに。
「ハニは誠実だよ。それと、その好きなのかな、っていう問いには僕は答えられないけど、Aちゃんならきっと分かると思うな。」
わかっていないふりをしているだけ。その言葉が私の胸に重くのしかかった。
わかりたく、ない。
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作者名：あった懐炉 | 作成日時：2024年2月10日 21時
