PUP 16 ページ16
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ジョンハンを支えながら部屋に入り、ベッドに寝かせる。
「ジョンハン、大人しく寝ててね。」
「んー…。」
やはりしんどいのか、布団を被せたらすぐに寝息を立てて静かになった。
この間に、冷えピタを貼り替えてあげよう。さっき渡した袋は倒れた時に玄関に落ちていた。
中から冷えピタを取り出し、もう一度ジョンハンの部屋に入る。さっきは緊張して見渡す余裕がなかったが、今見ると物も多く無く、シンプルできれいに片付けられたジョンハンらしい部屋だと思った。
既に貼られていた冷えピタがぬるいのを確認し、剥がして新しいもののフィルムをぺりぺりと取り、おでこにかかった前髪を避けて貼った。一瞬だけ、あの雨の中での出来事がフラッシュバックして、最後貼り終えたあとにおでこをぺちっと叩いた。
いつも不敵な笑みを浮かべて私を犬扱いしてかわいがっているジョンハンが弱って大人しくなっているのがなんだか可愛く見えて。衝動的に何となく、頭を撫でようと手を伸ばそうとしたその時、
「う、んん…」
ジョンハンが小さく唸って体をもぞもぞと動かした。
その瞬間、私は自分の手首を抑えながら飛び退いて息を潜めた。抑えたところがドクドクと脈打っていて、自分の心臓の鼓動がどんどん速くなっていることが分かる。ジョンハンは直ぐにすーすーと寝始めたので、起きたわけではなかった。…私のしようとしたことも、分かられてはいないだろう。
(……なにをやってるんだ、わたし。)
意識、しているの。ジョンハンのことを。
(A、おれ)
あの後、なんて言うつもりだったんだろう。
………私はなんて言って欲しかったんだろう。
自分の心が知りたい、その一心で私はそのまま、やめた方がいいとわかっていても止まれなかった。足音を立てないようにもう一度静かにジョンハンに近づき、顔をのぞきこんだ。
陶器のような白い肌をじっと見つめて、近づいたその時、長い睫毛がゆれて薄く目が開いた。
また、息を呑んだ。
「…わんこ？」
「……………わんわん。」
私は、バカか。
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作者名：あった懐炉 | 作成日時：2024年2月10日 21時
