PUP 15 ページ15
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き、来てしまった……。
お礼としてスポドリやゼリーを渡すだけ、私のせいで風邪ひいたみたいなものだし、と自分に言い聞かせながら歩いていたらいつもよりも短く感じた帰路に頭を抱える。
そもそも、来るなって言われてたのに本当に来てよかったんだろうか…、と迷ったが、ジスくんに言われてつい、なんていうのは言い訳だ。私がお見舞いに行きたかったから来た、それだけだ。うん。
十何年間も幼馴染みをやってきてこんなに家のチャイムを押すのに緊張するのは初めてだ。ええい、女は度胸！指先でインターホンのボタンを押し込むと、ピンポーンと軽快な音が鳴った。
「……ん"ん、はい。なんですか、って…A？」
「ジョンハン！…大丈夫、じゃなさそうだね……。あの、これ買ってきたからもらってほしいな。」
「おお、ありがと。てか、来るなって言わなかったか？っけほ、んん。」
「そ、それは……。まあいいじゃん、あれ、お母さんはいないの？」
「パートだよ。ほら、さっさと帰れ！移るぞ〜」
しっしっと手で払われてすぐにドアから追い出される。
ほんとに大丈夫？と最後振り向き際に聞き返すと、わんこは家で大人しく留守番しとけ、と掠れた声で返されたので仕方なくドアを閉めた。
その瞬間、バタンっと大きな物音が聞こえ、嫌な予感がして慌ててもう一度ドアを開けると玄関の前でジョンハンが倒れていた。
「ジョンハナ！」
「…う、お前なんで帰んないんだよ。」
「音がしたから心配で…痩せ我慢しないでよ。」
私の焦った様子を見て、汗を滲ませた顔を緩ませて心配性なわんこだな、と小さく笑った。顔が真っ赤なジョンハンが壁を伝いながら寝室へ戻っていくのを追いかけて支えながら歩いたが、身長差によって私がもはや引っ張られているのは仕方ないと思う。
「からだ、あついよ、ジョンハン。」
「おー、熱出てるからな。」
「………無理しないで。」
「ん」
聞き分けの悪い飼い主には困っちゃうなあ。ほんとに。
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作者名：あった懐炉 | 作成日時：2024年2月10日 21時
