ジフンと悩み( 1 ) ページ6
「はぁ・・・」
「私の可愛いジフナ〜どうしたの?」
「曲が、全然・・・作業が・・・」
いつもは作業に行き詰まっても部屋に閉じこもって声掛けても“平気”しか言わないジフナが珍しく自分から話しかけてきた
「全然ダメ・・・もうダメ・・・」
「どうした〜ジフナは釜山男子でしょ〜?それにいつも予想以上なもの作り上げて私たちを楽しませてくれるし、やれば出来るよ!」
「そんな気休めはいらない」
「そんな〜・・・」
そう言えばジフナは現実主義者で完璧主義者なんだった・・・こうやって私に弱いところ見せてる時点でジフナにとってはとっても辛いことなんだ
「ジフナ、コーヒーでも飲んで少しお話しよ」
「ん・・・」
いつもはジフナが淹れてくれることの多いコーヒーを、なれない手つきで用意してテーブルまで運ぶ
「はいどうぞ」
「・・・ありがと」
「どう?少しは落ち着いた?」
「気持ちだけ」
「なら良かった。ここから先は私の独り言として聞いて欲しいんだけど」
「?」
不思議な顔をしてこちらを見てくるジフナを置いて、私は淡々と1人で話し始める。
「私は昔、“周りの期待に応えたい、期待を裏切りたくない、自分を評価してほしい”って思って生きてたんだ。」
「・・・」
「誰の力も借りず、一人でなんでもやって。他人の力を借りるとそれこそ借りを作るような気がしたし、それで得た評価は自分に対するものじゃないと思ってた。」
「うん」
「それを続けていったら、最終的に“他人に頼ることは悪”だと頭が勝手に思うようになってて。でもそうじゃないってまた改めて気づくまでに、暫くかかったの。」
「うん」
ジフナは最初黙って俯いて聞いていたけど、途中から相槌を打ちながら聞いてくれるようになった。そしていつの間にか上げた顔にはどこか悲しげな表情。その顔を見ながら私は続ける
「そして私がそれに気づけたのは、ジフナのおかげ」
「俺の?」
「そうだよ。ジフナは私にいつも“大丈夫、俺がついてる”って言ってくれてたでしょ」
「そう、だったかも」
「その言葉も最初は手放しで信じられなかったけど、ジフナの真剣な顔と態度を見て少しずつ変われたの」
「・・・うん、でも俺、そんな大層なことしてない」
「それでも私には十分だったの」
どこか腑に落ちないみたいな顔で私を見てくるジフナ。自分は本当に大したことしてないと私に言いたいんだろう。
「だから私も同じようになりたい。ジフナにとって」
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作者名:Midyu | 作成日時:2017年10月1日 4時