バーノンと普通 ページ42
※CP要素ありませんがハンソルがゲイ
｢普通って何だと思う？｣
久々に呼び出されてハンソルとご飯に来たはいいものの、開口一番にこの言葉
｢また何か言われたの｣
｢実家に帰ったらゲイバレしてて無理やり女をあてがわれた｣
｢“矯正”ってやつ？｣
バーノンは所謂ゲイだ。私はなんの偏見もないし、人はそれぞれ幸せになるために生まれてきていると考えているのでハンソルが幸せならなんでもいい
｢普通になりなさいだって。普通って何？なれるものならなりたいよ｣
｢この世に普通なんてあるのかね。“多数”か“少数”かだけの違いだと思うけど｣
｢その“多数”が普通なんでしょ｣
確かにこの世は数が多い方が正義だ。それは確か。しかし少数派が悪だというのは多数派のエゴだと思う
｢俺がゲイだと自覚した時から薄々思っていたけど、幸せとか愛っていうのは周りの誰からも祝福されないと認められないものなんだと改めて痛感したね｣
｢でもまずは本人達が幸せでいることが最重要でしょ｣
｢ここまで来ると、誰かが一緒に不幸になってくれないと気が済まないよ( 笑 )｣
そう言って笑うハンソルは、うまく笑えていない。その顔を見ると“何でハンソルはゲイなんだろう”と同情するが、それは言えない
｢ハンソラは間違ってないよと言われたいの？｣
｢間違ってないとかいう理解はいらない。だけど人を愛し愛されることで幸せだというのには共感してほしい｣
｢性的嗜好が普通と違ってもってことね｣
｢そう。人を好きになることは何らおかしい事じゃないでしょ｣
｢分かってはいるけど、って感じだと思うよ｣
｢所謂“普通”の人と同じようにただ愛されたくて生きてる。それだけ｣
普通になりたくてもなれない。物心ついた時から普通とは違う生き方をしてきた彼には多分この先も“普通”が付き纏うんだろうな
｢わざわざヌナを呼びつけた所悪いけど、ヌナを含め周りの人は俺が俺であることを好いてくれていて、俺という人間を踏まえた上でアドバイスや助言をくれるのだから、もうそれは繰り返しなわけで、何が新しいことを得るところではなくただ“あなたは間違っていないよ”と心落ち着かせてくれる場所なんだって、知ってるけど、そうでもしないと無理で｣
ハンソルは全てわかっている。自分をこうして客観視することも出来る。なのにどうして世の中はこうも彼らに冷たくするんだろう
｢ハンソル｣
｢？｣
｢どんな形でもいいから、幸せになって｣
続く
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作者名：Midyu | 作成日時：2017年10月1日 4時
