2話 ページ3
「これからは気を付けてよね!」ともう何度目かも分からない台詞を言う甲斐田に、
「わかった!」と心にもない言葉を口にする私。
ため息をつきながら甲斐田が座るのは私の隣の机。書類の山が積まれた私の机とは大きく違い、彼の机は綺麗に整頓されている。
席についた彼の横顔を眺めていると、視線に気がついたのか不思議そうに見つめ返された。
空を閉じ込めたような瞳に、光に当たってきらきら輝く銀髪。何よりも素晴らしく整った目鼻立ちに、透明感のある色素の薄い肌。
「うん、目のリフレッシュ完了〜」
「なに、何の話?」
目の保養。なんでもない、と返し書類に再び向かう。
甲斐田晴という男はとんでもなく顔が良い。こんな閉鎖的な場所で研究者として働いていなかったら、アイドルにでもなっていたんじゃないだろうか。
そんな彼は最近先輩に色恋話を振られ、『出会いなんてあるわけないだろ……』とぼやいていた。
研究者になってしまったばっかりに。哀れである。
笑いながら「おまえを『深窓の令嬢』と呼んでやろう」と言ったら黙って足を軽く蹴られた。
まあかくいう私にも出会いなんてものは無い。
でも生物学的には女だから、甲斐田が素敵な相手を見つけて恋愛相談なんてしてきたら、仲の良い同僚として乗ってやってもいいかもな。
そんな風に考えていたのだ。
この後何が起こるかなんて、知りもせずに。
1384人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ほの(プロフ) - めちゃくちゃ面白すぎます!無理しない程度に投稿頑張ってください! (2023年3月30日 13時) (レス) @page20 id: 00bdaf2ca5 (このIDを非表示/違反報告)
裏波(プロフ) - 柊羽さん» 読みやすい…!?嬉しいお言葉、ありがとうございます❣❣ (2023年3月5日 15時) (レス) id: 83035580da (このIDを非表示/違反報告)
裏波(プロフ) - youさん» わ、嬉しいです…!ありがとうございます!! (2023年3月5日 15時) (レス) id: 83035580da (このIDを非表示/違反報告)
柊羽(プロフ) - とても読みやすくて毎話ドキドキしながら読んでます😳大好きです❗️これからも応援してます💕 (2023年2月26日 0時) (レス) id: 7b1698db4a (このIDを非表示/違反報告)
you(プロフ) - ここからどうなるのかwkwkです。これからも応援しております〜♪ (2023年2月10日 14時) (レス) @page18 id: 2c07f96897 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:裏波 | 作成日時:2023年1月25日 12時