nine episode ページ10
＊
八時や九時なんて子供は寝る時間ってお母さんに言われてきていたけど、その通りだと思う。
だって今、私の口からは大きなあくびが何度も出ているのだから。
お母さんと冬美お姉ちゃんにおやすみを言って部屋を出てきて、暗くなった廊下を歩いている。
眠いのを我慢するように、目をごしごしとこする。お父さんと焦凍には言ってない。だって怖いんだもん、お父さん。焦凍は探したけどいなかったし…。
自分の部屋に入り、電気をパチッとつける。明るくなった部屋をボーっと見つめる。そうすると、また一つ大きなあくびが出た。
たたんであった布団を敷いて寝転がる。
一度目をつむったが、電気を消してないのに気が付いて渋々また起き上がる。
丁度消そうと思って手を伸ばした時、誰かが部屋に入ってきた。
ぼやっとする視界で、扉の方を見ると赤が見えた。
一瞬お父さんかと思い、顔をしかめてしまったがその後すぐに白が見えた。
…お母さん？
目をこすると、はっきりと見えてくる視界。
そこには枕を両手で持っている焦凍が立っていた。
「…焦凍？どうしたの？」
いないと思ったら、自分の部屋にいたのか…
早足で近づいて来た焦凍は、私が先ほど敷いた布団にさっともぐり込んだ。
その行動を見ていると、布団から「A」と言う声が聞こえてきた。
頭まで布団をすっぽりとかぶっていた焦凍は、すぐにくりくりの目だけを布団から覗かせた。
「一緒に寝よ」
笑っているのか、目がスッと細くなる。
「うん！」
「電気消すよ」と一言だけ声をかけると、「ん」と返ってきたのですぐに消した。
真っ暗になった部屋に、少しずつ目が慣れてくる。
焦凍のいる布団に私ももぐり込む。
布団の中で焦凍と目が合い、ふふっと笑いあった。
おやすみ…と言おうとする私の前で両手を大きく広げた。
「A、来て」
そう言った焦凍の胸に、私は迷わず飛び込んだ。石けんのいい香りが鼻をくすぐる。
胸に顔を埋めると、焦凍が背中に手を回して抱きしめてきた。
私も手を回して、温かい焦凍の背中を抱きしめる。
「Aおやすみ。」
いつもより、静かな焦凍の声が私の眠気を誘う。
「…ん、おやすみ…焦凍…」
まぶたを閉じて眠りにつく時、チュッと音がしておでこに温かい何かが当たった。
でも、眠たかった私は何をされたのかわかっていなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1815人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ロップ兎(プロフ) - 利桜さん» コメントありがとうございます！最近更新遅くて申し訳ありません。なるべく早く更新するようにします！ (2017年8月27日 16時) (
レス) id: ce93d47f48 (このIDを非表示/違反報告)
利桜 - エンデヴァーめっちゃ親バカ笑 、更新お待ちしてます！！ (2017年8月27日 11時) (レス) id: f5b6208f11 (このIDを非表示/違反報告)
ロップ兎(プロフ) - 雨音色。さん» ありがとうございます！轟くんのかっこよさは誰にも負けません！エンデヴァーさん…なんか親バになってしまいました。喜んでもらえて嬉しいです、更新頑張ります！！ (2017年8月23日 9時) (レス) id: ce93d47f48 (このIDを非表示/違反報告)
雨音色。(プロフ) - 轟君めっちゃかっこいいです！！ 一推しなので読んでるだけでニヤニヤ止まりません！！！ エンデヴァーの親バカって良いですよね！小説で読めて最高です！ 更新頑張ってください！！！ (2017年8月23日 1時) (レス) id: 750f9850b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロップ兎(プロフ) - ナノンさん» ありがとうございます！すっごく嬉しいです。最近更新遅くてすみません、頑張ります！！ (2017年8月14日 10時) (レス) id: ce93d47f48 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ロップ兎 | 作成日時：2017年5月28日 18時
