eight episode ページ9
「うん。わかった。」
焦凍に向かって精一杯の笑顔を作ってみせる。
綺麗な瞳から一粒だけ涙を流すと自身の服の袖で目元をごしごしと拭い、私の目を見て抱き着いてきた。
その反動で尻もちをつく。
体制を直して、いつもより小さく見える焦凍の背中に手を回した。
「ありがとう、焦凍。」
焦凍の頭を撫でると、体を離しておでこをコツン…と合わしてきた。
「あたり前でしょ、お兄ちゃんなんだから。」
上目遣いでそう言った焦凍に、ふふっと笑いかけると頬をほんのり赤く染めてぷいっと横を向いてしまった。
私の兄、可愛いです。
＊
「…え、Aもう入ったの？」
「…え？」
冬美お姉ちゃんと一緒にお風呂に入って、髪の毛を乾かしてもらっていた時に驚いた顔をした焦凍がそう言った。
固まっている焦凍の手には、いつものパジャマが握られている。
ドライヤーを手に持っている冬美お姉ちゃんの手が止まると、耳元でカチッと音がしてすぐにくしでとかれる感触が伝わってきた。
「あれ？焦凍、これからお風呂？」
くしを上下に動かしている冬美お姉ちゃんが焦凍に向かってそう聞くと、焦凍の目線が私から冬美お姉ちゃんへと移る。
「え、あ…Aと一緒にって…思って…」
言葉も途切れ途切れで語尾が小さくなる焦凍の顔が徐々に私の方へ向いた。
「あ、ごめんね焦凍。冬美お姉ちゃんと入っちゃった…」
顔の前で両手を合わせてそう言うと、途端にしょんぼりとした顔をする焦凍。
いや、でも約束してないし…しょうがない…よね？
「焦凍、ごめんね」ともう一度言おうとした時、急に顔を上げた焦凍が冬美お姉ちゃんを見て言った。
「お姉ちゃんばっかりAと一緒でずるい。」
パジャマを強く掴んで、怒ったような口調でそう言うとすぐに踵を返してお風呂のある方へと歩いて行った。
焦凍がいなくなった部屋に少しの沈黙が流れた…と思っていると後ろから冬美お姉ちゃんの震える声が聞こえてきた。
首だけを動かして見ると、口に両手を当てて頬を赤く染めていた。
「ちょっと…！焦凍嫉妬！？だよね！あんな焦凍見るの新鮮！」
一人で興奮している冬美お姉ちゃんの膝の上に冷たいお茶が入ったコップを持って座る。
ごくっとお茶を喉に流し込むと、頭に冬美お姉ちゃんの手が乗ってきて撫で始めた。
「焦凍Aの事好きすぎる…！！」
「知ってる」
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ロップ兎(プロフ) - 利桜さん» コメントありがとうございます！最近更新遅くて申し訳ありません。なるべく早く更新するようにします！ (2017年8月27日 16時) (
レス) id: ce93d47f48 (このIDを非表示/違反報告)
利桜 - エンデヴァーめっちゃ親バカ笑 、更新お待ちしてます！！ (2017年8月27日 11時) (レス) id: f5b6208f11 (このIDを非表示/違反報告)
ロップ兎(プロフ) - 雨音色。さん» ありがとうございます！轟くんのかっこよさは誰にも負けません！エンデヴァーさん…なんか親バになってしまいました。喜んでもらえて嬉しいです、更新頑張ります！！ (2017年8月23日 9時) (レス) id: ce93d47f48 (このIDを非表示/違反報告)
雨音色。(プロフ) - 轟君めっちゃかっこいいです！！ 一推しなので読んでるだけでニヤニヤ止まりません！！！ エンデヴァーの親バカって良いですよね！小説で読めて最高です！ 更新頑張ってください！！！ (2017年8月23日 1時) (レス) id: 750f9850b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロップ兎(プロフ) - ナノンさん» ありがとうございます！すっごく嬉しいです。最近更新遅くてすみません、頑張ります！！ (2017年8月14日 10時) (レス) id: ce93d47f48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ロップ兎 | 作成日時：2017年5月28日 18時
