four episode ページ5
お母さんの笑顔をこの目で見たくて、私は走りだした。
一人だけ居たこの部屋に、私の足音が響く。
この無駄に広い家の中で、お母さんが居そうな場所を見ていく。
「お母さーん？」
部屋を見つけるたびに、中をそっと覗いてお母さんを呼ぶが誰もおらず勿論返事は返ってこない。
そのたびに私は肩をすくめる。
…どこに行ったんだろう…
キョロキョロと周りを見て、また歩き始める。
部屋を出て自分が描いた絵を見つめながら廊下を裸足でペタペタと歩いていると、一つの部屋から複数人の声が聞こえてきた。
思わず立ち止まってその部屋を見つめる。
壁に近寄ってよく耳を澄ましていると、そこからお母さんとお父さんの声が聞こえた。
その瞬間、私の中に花が咲いたように笑顔になった。
「あっ…！」
お母さんいた！
私はお母さんを見つけた喜びで、なんの迷いもなくその部屋に入った。
けれど、それが間違いだったのだ。
そこには、激しくえずいて四つん這いになっている焦凍と言い争いをしているお母さんとお父さんの姿があった。
「焦凍っ…！！」
私の声に気が付いて振り向いた焦凍は目を見開き、お母さんは顔を真っ青した。
焦凍のその姿が衝撃的で、私は手に持っていたスケッチブックを放り出して駆け付けた。
「大丈夫！？焦凍っ！」
肩に手を置いてそう聞くと、うっすらと目に涙を浮かべてふるふると首を横に振る焦凍。
「えっ？もしかしてどこか痛いの？じゃあ、早くここから出て…」
「…っだめ…Aっ…ここに来たらだめ！」
私の話を遮ってそう叫んだ焦凍に、お父さんが「早く立て」と厳しい口調で言う。
いつもより鋭い目つきで焦凍を見た後に、私を見る。
その鋭さに、肩がビクリとはねる。
「早く出ていけ」と、目でそう言っている。
私は立ち上がると、さっと焦凍を庇うようにして立った。
「何のつもりだ、A…」
低い低いその声が、私に恐怖心を植え付ける。
きゅっと下唇を噛んでお父さんを見上げて口を開く。
「し、焦凍に何したの！いつもいつも傷だらけにして…！焦凍を傷つけるお父さんなんて…嫌い！！」
震える声でそう言うと、お父さんの深い眉間のしわがより一層深くなった。
腕を組んでいたお父さんは、一つ大きなため息をつくと私の方へ歩いてきた。
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ロップ兎(プロフ) - 利桜さん» コメントありがとうございます！最近更新遅くて申し訳ありません。なるべく早く更新するようにします！ (2017年8月27日 16時) (
レス) id: ce93d47f48 (このIDを非表示/違反報告)
利桜 - エンデヴァーめっちゃ親バカ笑 、更新お待ちしてます！！ (2017年8月27日 11時) (レス) id: f5b6208f11 (このIDを非表示/違反報告)
ロップ兎(プロフ) - 雨音色。さん» ありがとうございます！轟くんのかっこよさは誰にも負けません！エンデヴァーさん…なんか親バになってしまいました。喜んでもらえて嬉しいです、更新頑張ります！！ (2017年8月23日 9時) (レス) id: ce93d47f48 (このIDを非表示/違反報告)
雨音色。(プロフ) - 轟君めっちゃかっこいいです！！ 一推しなので読んでるだけでニヤニヤ止まりません！！！ エンデヴァーの親バカって良いですよね！小説で読めて最高です！ 更新頑張ってください！！！ (2017年8月23日 1時) (レス) id: 750f9850b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロップ兎(プロフ) - ナノンさん» ありがとうございます！すっごく嬉しいです。最近更新遅くてすみません、頑張ります！！ (2017年8月14日 10時) (レス) id: ce93d47f48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ロップ兎 | 作成日時：2017年5月28日 18時
