thirty six episode ページ37
「可愛い〜」
私が膝に手を置いてかがむと、隣にいる焦凍はしゃがんで猫を触り始めた。
「可愛いな…」
目を細めて猫のお腹を撫でている焦凍の横顔を私は盗み見る。
あああぁ〜〜〜…
「うん、可愛い…」
…焦凍が。
猫は嬉しそうに私達にお腹を見せ、ゴロゴロと喉を鳴らしている。
「A、こいつ…」
突然動かしていた手を止めた焦凍を私も猫も不思議に思い見る。
猫の脇に手を入れた焦凍は抱き上げると、立ち上がり私に猫を見せてきた。
「…あっ、おばさん所のネコじゃん。」
猫の首輪についている鈴を触ってチリンと鳴らしてみる。
「んなぁ〜」
まるで笑っているかのように口を開けて鳴く。
「……ミケ。」
ずっと考えていたのか、ぽつりとその名を口にする焦凍に私も頷く。
「あ〜そうだ！ミケだミケ！」
この子の飼い主さんが三毛猫だからミケって前に言ってた気がする。
安易というかなんというか…
三毛猫っていっても貴重なオスではなくメス。
「お散歩中だったかな？」
焦凍に変わって抱き上げていた私はミケを地面に下ろした。
葛餅を入れている袋が気になるのか、ミケは私が持っている袋に近づきふんふんと鼻を動かしている。
ゆっくりと瞬きをしてにゃあっと鳴くと歩きだす私達の後をついて来た。
「…帰るのか？」
「かもね。」
そうやって話ている私達の前や横を尻尾を上げて歩いている。時々足にすり寄って来るから少し歩きにくい…
しばらくすると、先頭をきって歩いていたミケが慣れた様子でお店に入り、ショーケースへよじ登った。
「「あ…」」
私はミケを目で追ってお店の人と目が合い、焦凍は後ろでそのお店の看板をみて声が重なった。
「Aちゃん！焦凍くん！何？おつかい？」
首に巻いたタオルで汗を拭きながら、お姉ちゃんのお手伝い？と聞きながら笑うこの人はコロッケ屋を経営している人。そしてミケの飼い主さん。私達はおばさんって呼んでいる。
ここも小さい頃から来ている。それは…お母さんがまだ家にいた頃。
「うん。さっき歩いてたら丁度ミケと会って…。散歩からの帰りだったみたい。」
そう言って笑い返すと、おばさんは苦笑いをして定位置となっている座布団に座っているミケを撫でた。
「も〜ね。目を離すとすぐどっか行っちゃうんだよ。看板猫がいなくてどーするのってね〜。」
thirty seven episode→←thirty five episode
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1815人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ロップ兎(プロフ) - 利桜さん» コメントありがとうございます！最近更新遅くて申し訳ありません。なるべく早く更新するようにします！ (2017年8月27日 16時) (
レス) id: ce93d47f48 (このIDを非表示/違反報告)
利桜 - エンデヴァーめっちゃ親バカ笑 、更新お待ちしてます！！ (2017年8月27日 11時) (レス) id: f5b6208f11 (このIDを非表示/違反報告)
ロップ兎(プロフ) - 雨音色。さん» ありがとうございます！轟くんのかっこよさは誰にも負けません！エンデヴァーさん…なんか親バになってしまいました。喜んでもらえて嬉しいです、更新頑張ります！！ (2017年8月23日 9時) (レス) id: ce93d47f48 (このIDを非表示/違反報告)
雨音色。(プロフ) - 轟君めっちゃかっこいいです！！ 一推しなので読んでるだけでニヤニヤ止まりません！！！ エンデヴァーの親バカって良いですよね！小説で読めて最高です！ 更新頑張ってください！！！ (2017年8月23日 1時) (レス) id: 750f9850b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロップ兎(プロフ) - ナノンさん» ありがとうございます！すっごく嬉しいです。最近更新遅くてすみません、頑張ります！！ (2017年8月14日 10時) (レス) id: ce93d47f48 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ロップ兎 | 作成日時：2017年5月28日 18時
