sixteen episode ページ17
「そんなことない。大丈夫、大丈夫。お母さんは絶対、焦凍の事嫌いになんてなってないからね。」
「うん…」
“だってお母さんなんだから！”と私を抱き寄せてそう言う冬美お姉ちゃんの声も、少し震えていた。
しばらく冬美お姉ちゃんとそうしていると、玄関が開く音が私達しかいない静かな家に響いた。
弾かれたように私は顔を上げる。
「あっ…！冬美お姉ちゃん！！」
「…っ！A行こう！」
顔を見合わせると、冬美お姉ちゃんは私の腕を掴んで玄関に向かって走り出した。
冬美お姉ちゃんの走る速さについていけず、息を切らして玄関までたどり着いた。はぁっ…と肩で息をする私の目の前に立っていたのは…お手伝いさん、お父さん…そして…左目に包帯を巻いた焦凍。
けどそこに、お父さんと出ていったお母さんの姿がない。
…でも、それより…
靴を脱がずに下を向いている焦凍に私も冬美お姉ちゃんも駆け寄る。
「焦凍大丈夫だった！？」
そう聞くが、焦凍は頷くだけ。
とりあえず、靴を脱いであがるように冬美お姉ちゃんが焦凍に言った。
お手伝いさんは他に用事があると言って私たちとは違う方へ歩いて行き、私と焦凍そしてお父さんと冬美お姉ちゃんで廊下を歩いていた。
無言のままで廊下を歩いていたなか、私の前を重い足取りで歩いていた焦凍が急に立ち止まって蚊の鳴くような声で「お母さんは…？」と言う。
冬美お姉ちゃんがあっ…と言う顔をしてお父さんを見る。
お父さんは立ち止まり、振り返ることもせずに答えた。お母さんを入院させたということだった。
戸惑うそぶりも見せず、そう言ったお父さんを見て私も焦凍も、冬美お姉ちゃんも固まった。
「えっ…なんで！？お父さん！」
少し怒りが込められている声で冬美お姉ちゃんがお父さんの腕を掴んでそう言う。
驚いた顔をしていた焦凍も、だんだんと怒りに変わっていく。
「おまえの…！！」
突然大声を出した焦凍に驚く私と冬美お姉ちゃん。
「お前のせいでお母さんはっ……！！」
瞳から大量の涙を流して、言葉を詰まらせる焦凍。それでもなお「お母さんはっ…」と言続ける。
唇を噛んで、下を向く焦凍。足元に焦凍の涙が落ちる。するといきなり隣に居た私の手を掴んで走り出した。
突然の事で転びそうになる私を気にかけることもなく、ただただ走り続ける。
お父さんだけが、いつもと変わらない顔だった。
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ロップ兎(プロフ) - 利桜さん» コメントありがとうございます！最近更新遅くて申し訳ありません。なるべく早く更新するようにします！ (2017年8月27日 16時) (
レス) id: ce93d47f48 (このIDを非表示/違反報告)
利桜 - エンデヴァーめっちゃ親バカ笑 、更新お待ちしてます！！ (2017年8月27日 11時) (レス) id: f5b6208f11 (このIDを非表示/違反報告)
ロップ兎(プロフ) - 雨音色。さん» ありがとうございます！轟くんのかっこよさは誰にも負けません！エンデヴァーさん…なんか親バになってしまいました。喜んでもらえて嬉しいです、更新頑張ります！！ (2017年8月23日 9時) (レス) id: ce93d47f48 (このIDを非表示/違反報告)
雨音色。(プロフ) - 轟君めっちゃかっこいいです！！ 一推しなので読んでるだけでニヤニヤ止まりません！！！ エンデヴァーの親バカって良いですよね！小説で読めて最高です！ 更新頑張ってください！！！ (2017年8月23日 1時) (レス) id: 750f9850b9 (このIDを非表示/違反報告)
ロップ兎(プロフ) - ナノンさん» ありがとうございます！すっごく嬉しいです。最近更新遅くてすみません、頑張ります！！ (2017年8月14日 10時) (レス) id: ce93d47f48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ロップ兎 | 作成日時：2017年5月28日 18時
