急募：推しへの優しい接し方【う/ら/た/ぬ/き】 (ページ17)

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夢主side

「どうした？」

突然黙り込んでしまった私を心配してくれているのだろう、覗き込まれるその視線から逃げ出してしまう。
こんなにも冷たい態度をとってしまっているのだから、嫌われてしまったってなにもおかしくない。なのにうらたさんときたら、嫌わないどころかこうして気にかけてくれる。
その優しさが今は少し恨めしい。どうせなら嫌ってもらった方がマシなのかもしれない。

「何もないので、離れて、ください！」

うらたさんがこんなにも優しくなかったら、私だってきっと推し以上の感情なんて抱かなかったはずだ、なんてこんなの八つ当たりでしかない。

「ごめん」

自分自身への憤りを含んでしまったいつもよりも語気の粗いそれに、虚をつかれたような顔をしたうらたさんを見た瞬間、自分のしてしまったことの重大さに気づいた。
心配してくださったのに離れろなんて。最低にもほどがある。

いつだったか、センラさんが言っていた。活動者だからと制限されるのは嫌だと。
これは、つまり活動者だからと線引きされたくないということであって。
そう、うらたさんだって私と同じ一人の人間で、確かに活動をしていることで他人から心無い言葉を言われているかもしれない。けれどもそれに何も感じないわけがない。
今私がしたのも同じようなものだろう。相手の気持ちなんて全く考えずに発言をした。
好きになってはいけない人を好きになったかもしれない、叶わぬ相手を好きになってしまったかもしれない、そんなことに勝手に苛立ち、挙句相手を傷つけてしまった。
私はファンどころか、人間として、最低だ。

「すみません、もう帰ります」

自分には泣く資格なんてないとわかっていても止まりそうにない涙を飲み込んで荷物を荒っぽく掴み店を飛び出した。最後の最後まで非常識だなぁ、私。
するべきことは逃げ帰ることじゃなくてうらたさんに謝ることのはずなのに。

もううらたさんに嫌われるには十分すぎるか。
つい先程まで嫌ってくれたら良かったのに、なんて思っていたのが嘘みたいなほど胸が痛くなった。