12暗闇の中の鯨 ページ12
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あの、世界一の背中が。
毎晩驚くように小さく震え泣いている。
続報は、いつまでも入らなかった。
船はあれから本当に消えるように静かになった。Aは、ずっとずっと昔から当たり前に皆の特別な光だったんだ。
こんな俺は最近入ってきたばっかの新入りのバース。あの世界一の船に乗れば村一番の自慢になる。そんな感じで意気込んで夢だった船に乗ったら、呆気に取られる事ばかりで。
死の悪魔なんて、どこにも居なかった。皆ただただ強くて、優しくて、どこまでも広かった。
その中に一際大事にされて、いつも眩しいくらいに咲いていたのは小さな小さな一輪の花だった。Aはいつだって笑顔で迎えてくれた。悪く言う奴なんて聞いたことがない。
こんな普通の女の子がここで光輝くなんて、きっと大変な思いも沢山してきただろう。
俺みたいな新入りもすぐに覚えてくれて、本当に良く気が付いて頭が良くて優しくて。
彼女が居なくなった日から、ここは光を失った。
今もまた、エース隊長が大きな声を出していて皆が慌てて止めている。
きっと皆もAの事になると爆発してしまうエース隊長の気持ちは痛い程わかっているんだと思う。
実はエース隊長がAの事になるとああなってしまうの、俺は自分の事を代弁してくれてるみたいに嬉しくなるんだ。
きっと他の皆もそうだと思う、だって顔見てよ。皆エース隊長と同じ目の色なんだ、寂しいって叫んでる。
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「エース!辞めろ、いい加減にしろ!」
「もう3日だ!!運が良けりゃ島に流れてるはず!‥‥靴の一つでも見つけてくる。親父だってわかってくれるさ」
甲板で数人がもみ合っている。遂に落ちた日から3日。Aの続報は無くエースの苛立ちは爆発してしまう。ストライカーを担ぎ今にも海へ飛び出そうとしている所だった。
「グラララ‥‥!一体何事だァ鼻ったれ共‥!」
空気がグラグラと揺れ船体に波打つ音が響く。まさに圧巻の登場。下っぱは皆その居るだけの覇気に動くことが出来ずにいた。
「親父!俺はAを必ず連れ帰る。悪ィが俺の穴は埋めてくれ!」
「‥‥覚悟は出来てンだろなぁ‥エース」
バタバタと周りのクルーたちが倒れてゆき、エースも冷や汗が噴き出す。だがその鋭い眼光が揺らぐことは無かった。
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嫁子ちゃん。(プロフ) - 読者の皆様!こんにちは(^^)新しいアカウントになりました!末っ子ちゃん更新してますので、私に飛んで楽しんで戴けたら幸いです‥(*^^*) (2021年4月30日 9時) (レス) id: 8e3cf6a3ac (このIDを非表示/違反報告)
嫁子ちゃん。(aug)(プロフ) - マリンさん» 本当ですか?!嬉しい‥( 。゚Д゚。)私も書きながら悶絶しております‥wちびマルコ。マリンさまの為に書きますよ!アカウント変わりましたが続編作りましたのでまた絡みに来てください! (2021年4月12日 13時) (レス) id: b51500dff7 (このIDを非表示/違反報告)
嫁子ちゃん。(aug)(プロフ) - 蒼鳥さん» 毎回だなんて‥泣ける嬉しい(ToT)ありがとうございます‥!アカウント変わりましたが続編‥書きました!是非ともまた感想教えてください( o´ェ`o) (2021年4月12日 13時) (レス) id: b51500dff7 (このIDを非表示/違反報告)
嫁子ちゃん。(aug)(プロフ) - 名無しさん» ありがとうございます!楽しみにしてもらえて光栄です‥!続編、アカウント変わりましたが作りました。良かったら遊びに来てくださいね(^-^)/ (2021年4月12日 13時) (レス) id: b51500dff7 (このIDを非表示/違反報告)
マリン - 二人がくっついて叫んでました(笑)ちびマルコ….!みたいです! (2021年4月11日 19時) (レス) id: 6f6628a406 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:嫁子ちゃん。 x他1人 | 作者ホームページ:https://Twitter.com/yomeko_zzz
作成日時:2021年3月24日 17時