SONG 2 [歌い手]

story.85 ページ38

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ゆっくり目が覚めた。


体がだるい。

重たい。


どんな寝方をしたらこうなるんだと考えながら

ゆっくりと起き上がる。


重い体を動かしながら日常になりつつある通知に目を通す。


昨日の放送でアンチは分かりやすく減った。

ただ、一つだけ気になったのは送られてきたメッセージ。


『住所特定完了。殺しに行くね」


捨て垢で匿名で、誰なのかもわからない。


ただのいたずらだと思う。

けれど、これが本当だとしたら大変だ。


住所特定…いや、まさか。


一応は警戒しておくとしても

そう簡単に特定なんてされないだろう。


簡単にそう考えて準備を始める。


激励の言葉をもらったんだからまだ大丈夫。

あの女はもう何もしてきていないのだから。


住所特定の根拠だって何もない。


そんなに心配しすぎることじゃない。


前までのように

リスカがばれないようにすることに必死になっていればいいのに。


何の根拠も何の証拠も

何もないのに、じゃあなんでこんなに嫌な予感がするんだろう。


最近は妙なことしか起こってないし

そう思えば、何もないはずなのに


あの女の顔が

いつもの笑った顔と、気持ち悪いくらいに冷めて怒った顔が

脳裏をちらついて離れようとしない。



最近は、怖いと感じる事が多くなってしまった。


彼らを信じて

一緒に過ごすようになってしまってからだ。


自分の、今まで押し込んで気づかないふりをしていた弱さが

海の満ち潮のように

ゆっくり、だけど着実に、戻ってきている。





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