愛を知りたい 【三途春千夜】

8. ページ8

･










人間関係が苦手だった。











親はろくな人間じゃなかったし、家にいないかと思ったら帰ってきて暴れるだけ暴れてどこかに行ったり。








母親は、知らない男を、父親は知らない女を、互いがいない時を狙って家に連れ込んで、その度にお盛んな声で夜は眠れなかった。









寒い日は嫌い。ベランダも嫌い。










私が親を嫌いになったって、きっと誰も文句は言えない。











誰との子かも分からない妹が生まれた時も、私以外は誰もその子に関心すら抱かなかった。









原因は分からない、栄養失調か、ストレスか、まだ生まれて半年ほどだったと思う、妹は死んだ。





死んだ妹がどうなったのかは知らない。知りたくもない。














人間関係に加えて、親のせいで恋愛すらも嫌いになった。









愛情を知らずに育って人を愛せるとでも？人から愛を受け取れるとでも？










私は知らない。



何も知らない。











例え蘭が言うように、周りから見て私と春千夜の間になにか特別な何かがあったとしても、私には分からない。









人を愛するのは怖い。





私はあれから、赤ちゃんですら怖い。












人間が脆すぎて、欲に満たされすぎて、そんな親と同じ、人間である自分も怖い。














なのに、何が原因か、それら全てが原因なんだろうけど、結局行き着いた仕事がこれで、あぁやっぱり同じようなもんだなぁ、と諦めたのは何年前だったか。













ろくな人生歩んでないもんな、昨晩蘭に言われたことを思い出す。












ろくな人生を歩んでいたら、何が変わったんだろう。





ろくな人生を歩むために、私に何ができたんだろう。












親が全て悪いと思ってしまうのは、ダメなこと？



















･

9.→←7.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す