gun. ページ49
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おいで、と蘭が薄気味悪い笑みを浮かべながら私を呼んだのは、私の部屋ができてしばらくだった。
蘭のその笑顔には見覚えがある。
最初に私をここに招き入れた時もそう、とりあえず男教えてあげるなんて言って私をソファーに組み敷いた時もそう、その笑顔だった。
その人がその顔をする時にいいことが起こったことは無いけど、嫌がればじゃあ死ぬ?と聞かれるのがオチ。
私も嫌な顔をしてついていってみれば、地下にある、訓練所みたいな所。
しかも、銃の。
ほらねやっぱりいい事がない。
耳をつんざくような聞き覚えのない音に眉をひそめていれば、私を連れてきた蘭と、そこにいた竜胆と、今まさに銃を撃って私をこんな顔にさせた春千夜が私の顔を見て笑った。
「笑わないでよ」
「お前そんな顔できたんだな」
「なんでここに連れてこられたわけ・・・」
「お前は重要な情報源だし、死なれるわけにもいかないんだよね」
これかなーと、隠し扉みたいなところを開いて似たような銃の中からひとつ、準備を始める蘭が言った。
そんな、隠し扉を堂々と私の前で開けるなよ、とは思ったけど面倒だから口にはしない。
「その情報源が狙われる可能性って十分にあるよね、だからはい」
見た事のある笑顔を張りつけた蘭が、私にソレを渡した。
思わず受けとった鉄の塊は重たくて、これで人が殺せるんだと心臓が異様なほどうるさく鳴った。
ここにこれがあることも、みんなが胸元や色んなところに隠し持ってることも、普通なんだ。
「一緒にやってやっから緊張すんなよ、目ェ引き攣ってんぞ」
「・・・ちゃんと教えてよ」
「こっち来い」
春千夜について行った場所で、春千夜の手が腰や、背中に触れた。
「目ェ開け」
「相手見ろ」
蘭も竜胆も、後ろから指示を出して、私を見守る。
「撃て」
春千夜の声が耳元で冷たく聞こえて、初めて撃ったソレを私は一生忘れないと思う。
最初にしちゃ上出来、と春千夜が私の頭を無理やり撫でて髪が崩れた。
もうここから出られないんだ、そう思ったのは恐怖や後悔じゃなくて、ここまで信用されたこととここからでなくて済むことと春千夜がそばに居ることへの、安心からだと思う。
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はな(プロフ) - みおさん» コメントありがとうございます!いい終わりだと思っていただけたなら嬉しいです! (2022年2月24日 22時) (レス) @page20 id: ac72e0904e (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - あー!遂に赤ちゃんが!!いい終わりですね! (2022年2月24日 18時) (レス) @page50 id: a6d9d88fcf (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - ゆさん» コメントありがとうございます!また、完結までお付き合い頂きありがとうございました!こちらこそ、お読み下さりありがとうございました!今後ともよろしくお願いします! (2022年2月17日 20時) (レス) id: ac72e0904e (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - 完結おめでとうございます。一時はどうなることかっ…とヒヤヒヤハラハラしましたが!春千夜くんと夢主ちゃんが無事結ばれて本当によかったです!!この度も素敵な作品ありがとうございました。引き続き蘭ちゃんの作品と合わせて更新楽しみにおまちしております! (2022年2月17日 18時) (レス) @page47 id: 1f3bc36824 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 甲賀忍者さん» きゃー!コメントありがとうございます!!じゃんじゃん惚れちゃってください!ありがとうございます! (2022年2月15日 21時) (レス) @page21 id: ac72e0904e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はな | 作成日時:2022年2月14日 3時