愛を知りたい 【三途春千夜】

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誰かが部屋に入ってきたのはわかるんだけど、ドアがどこにあるかわかんない。








誰か分かんないけど、できれば私の顔を覗き込んでほしい。












｢･･･やぶ医者さん？｣





｢誰がやぶ医者だよ｣





｢春千夜｣





｢･･･痛てぇか｣





｢大丈夫だよ｣











かつ、かつ、と自分のペースで私の元に来て、目が合った。








できるなら、見て欲しくないんだけど。













見て欲しくない気持ちのせいで、無意識に顔を避けたけど、春千夜はもう何も言わない。











逆に、私の髪をそっと撫でるから、驚いた顔をしたと思う。














｢んだよ、その顔｣





｢･･･春千夜も、頭打ったの？｣













そんな優しい人じゃないでしょ、なんて失礼な言葉を付け足せば、春千夜はペシ、私の右手の甲を叩いた。


















春千夜は、なんにも話さない。








顔を見られたくないからそっぽを向いていたのに、なんにも話さない春千夜が気になって、チラッと見た。














切なそうな表情で私の傷を見つめる、春千夜。










なんて表情を、してるんだろう。











｢･･･春千夜？｣









なんだか、不思議な気持ちになって、少しだけ焦って、春千夜の名前を呼んだ。












春千夜は、動いた私の口元を見てから、静かに、私と目を合わせるの。













まるで、愛しいものでも見ているみたいに。



















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